鍵はSUVルックと短納期! 新車時は売れなかったダイハツ・タントがマイナーチェンジで起死回生していた!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■発売当初、タントは思うように売れなかった

■しかしマイナーチェンジ後の売れ行きは好調

■タントが成功した理由について解説する

タントの不調はダイハツの軽乗用車販売に影響

 現行ダイハツ・タントは、2019年7月の発売当初、売れ行きが伸び悩んだ。発売の翌年となる2020年の届け出台数は、1カ月平均が約1万800台で、軽自動車の販売ランキングは、ホンダN-BOXとスズキ・スペーシアに続く3位であった。

 ちなみに先代タントは2013年に発売され、翌年の2014年には、1カ月平均届け出台数が1万9500台に達した。同じ発売の翌年なのに、先代型の届け出台数は現行型の1.8倍だった。現行型がコロナ禍の影響を受けたことを考えても、先代型の売れ行きが圧倒的に多い。

 先代型は、軽自動車の販売ランキングでも、2014年にはN-BOXを抜いて1位になった。さらに先代アクアの登録台数も超えたから、2014年には国内販売の総合トップに立っている。これに比べて現行型は、N-BOXだけでなくスペーシアも抜けずに3位で、売れ行きも先代型の55%だから、タントの販売回復はダイハツの重要課題になった。

 そこでタントは、販売の低迷が明らかになった2019年12月には、早くもモデル末期に用意するような格安の特別仕様車「セレクションシリーズ」を設定した。2020年の6月には、価格をさらに抑えた追加グレードの「Xスペシャル」まで設定したが、前述のとおり同年の1カ月平均届け出台数は約1万800台に留まった。

 タントの不調は、ダイハツの軽乗用車販売のすべてに大きな影響を与えた。2019年までのダイハツの軽自動車届け出台数は、軽乗用車、軽商用車ともにスズキを上まわったが、タントが現行型へフルモデルチェンジした2020年以降の軽乗用車は、スズキに抜かれた。ダイハツは軽商用車の販売比率を増やすことにより、軽自動車の販売1位を守っている状況だ。タントはダイハツを代表する車種だから、その売れ行きが低迷すると、ダイハツの軽乗用車全体に良くない影響を与えてしまう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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