車種によっては違いなし! EVの急速充電は時間課金だから「高出力がお得」は早計だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■EVの急速充電器は充電能力が機器ごとに異なる

■一般的な充電カードは充電時間課金制のため、性能の高い充電器で充電するほうが経済的だ

■電池残量によって車両側が充電制限することもあり、一概に高性能な急速充電器がお得とはいえない

EVの急速充電器は機器ごとに性能が異なっている

 CHAdeMOの急速充電器を利用する場合、基本的に30分で一旦終了になる。そこで、大容量バッテリーを車載する電気自動車(EV)では、満充電近くまで充電できず、後続の充電希望者がいない場合は、もう30分充電を繰り返す場合もある。

 いずれにしても、急速充電は30分を一区切りとする充電サービスになっている。もちろん、有料なので30分を待たず、自分の都合によって途中でやめることもできる。

 急速充電器は、20~150kWの種類があり、それらが点在している。近年では機器の交換を含め、50kWの機器の整備が進められ、90kWも加わりはじめているが、それ以下の出力もまだ現存する。自分が急速充電しようとしている機器が、どれくらいの出力であるかを知りためれば、充電網の検索を提供している情報サイトから入手できる。当然ながら、同じ30分の急速充電をするなら、高性能な機器のほうが充電できる電力量は多くなる。

 そして、一般に提供されている充電カードは10分単位などで都度の金額が定められているから、1回の急速充電で充電できる電力量と費用を考えると、より高性能な機器で急速充電したほうがお得に思えるだろう。

 しかし、単に充電器の性能の高低だけでなく、EV側の電力受け入れ性能によっては必ずしもそうならない場合がある。急速充電は、200Vでの普通充電に比べリチウムイオンバッテリーを痛めやすいので、長持ちさせようと、大電流での充電をEV側で制御するプログラムが働くからだ。

 急速充電の様子は、水をコップからこぼすことなくいっぱいに注ぐことに似ている。一滴もこぼさずコップいっぱいに水を注ぐには、水道の蛇口を全開にはせずちょろちょろ水を出さないと、最終的に溢れてしまう。そこで、水をちょろちょろ流しながらコップ一杯に水を溜めるやり方は、EVでは普通充電の考えに通じる。したがって普通充電では、100%の満充電にできるのだ。

 急速充電は、蛇口を全開にして勢いよく水を出すやりかたなので、早めに蛇口を閉じなければ電気が溢れてしまう。そこで急速充電は、約80%までしか充電できないとされるのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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