車種によっては違いなし! EVの急速充電は時間課金だから「高出力がお得」は早計だった (2/2ページ)

バッテリーの状態を把握しながらの充電が好ましい

 また、充電が進むと、最後のほうは電流を下げている。過充電になって短絡したり、異常な加熱をしたりする恐れがないようにする安全策だ。

 それらによって、急速充電器は高電圧で大電流を流すので、バッテリー側も空のコップのように電力をかなり消費してからでないと、急速充電の効果は得にくい。

 ところで、バッテリー容量の大小をコップに水を入れるのと、バケツに水を溜めるという違いに仮定すると、バケツに水をいっぱいに満たそうとするなら、家庭の水道の蛇口では時間がかかるので、たとえば工業用のように大きな蛇口から水をジャブジャブ入れたほうが早く溜まる。つまり、大容量バッテリーのEVには、高出力な機器が好ましいが、たとえば軽EVのサクラやeKクロスEVのように、それほど大容量でなければ、必ずしも高出力型でなくても事足りることになる。

 それらを含め、車両側のバッテリー容量や充電残量などによって、急速充電器の充電を調節される相互通信も行われている。事前に情報を共有したうえで、充電開始となる。単に充電器の性能だけで、30分の充電時間でどれくらい充電できるかが決まるわけではない。

 結論は、同じ30分という充電時間なら、高性能な急速充電器を選んだほうが金銭面で得になるかどうかは、車種によって、あるいは充電残量などの状況によって一概にはいえないということだ。

 自分の乗っているEVのバッテリーが、どのような電力の受け入れ性能であるかを確認したうえで、高性能充電器に対応可能なら、充電網の検索で高性能機器を選び、充電するほうが得になるということではある。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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