気がつけばもう26年! ハイブリッドを世に知らしめた「プリウス5代の歴史」がやっぱり凄かった (2/2ページ)

5代目はさまざまな面で革新的な1台

 日本でもっとも売れる自動車として認知された3代目プリウスのあとを受けて、2015年にフルモデルチェンジしたのが4代目だ。ハイブリッドカーは刺激が少ないという市場の声に応えたのか、おどろくほどアグレッシブなスタイリングをまとって生まれ変わった。

 ハイブリッドシステムは1.8リッターエンジンを軸にする点は変わらないが、すべてのメカニズムにおいて小型化・軽量化を狙った進化版。エンジン自体の熱効率も40%を超えるレベルまで高めることに成功、JC08モード燃費はなんと40.8km/Lまで引き上げられた。ちなみに4代目の最終仕様では現在と同じWLTCモード燃費がカタログ値として記載されていたが、その最良値は32.1km/Lとなっていた。

 後輪をモーターで駆動する4WDシステム「E-Four」をプリウスとして初採用したのも4代目でのトピックスの1つ。しかしながら癖のあるスタイルがネックになったのか、はたまた市場ニーズが燃費重視でなくなったのか、4代目プリウスは期待ほどのヒット作とはならなかった。

 そうして最新の現行型プリウスにつながる。走りを楽しめるハイブリッドというコンセプトを掲げ、上級グレードのハイブリッドシステムには2リッターエンジンを組み合わせた。

 ここで注目したいのは2リッターハイブリッドの燃費性能はWLTCモードで28.6km/Lとなっていること。初代から4代目までは、なにがあっても燃費性能で先代モデルを超えてきたがついに燃費重視のスタンスを脱したのだ。それがプリウスというブランドにとって良いことなのか悪いことなのかの判断は市場がすることだが、兎にも角にもフルモデルチェンジで燃費が悪化した初めてのプリウスが、現行型である5代目だ。冒頭で記したように進化のベクトルが明らかに変わったといえる。

 しかしながらプリウスが環境性能を捨てたというわけではない。3代目からプリウスには外部充電によってEV走行が可能なプラグインハイブリッドをラインアップしている。3〜4代目ではPHV、現行型ではPHEVと称されるグレードだ。

 そのプラグインハイブリッドにおいて、エンジンを使わずにバッテリーの電力だけで走行できる距離を並べてみると3代目では26.4km、4代目では68.2km、そして5代目では87kmと着実に伸びている。現行モデルとなってもプリウスが電動化に価値を見出していることは、この進化から見て取れる。

 ハイブリッドは当たり前のものとして燃費だけではないという提案をしつつ、プラグインハイブリッドではゼロエミッションによる環境負荷軽減の範囲を広げているのが最新のプリウスが目指した姿といえそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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