この記事をまとめると
■5代目となる新型プリウスが登場
■現在は多くの車種にハイブリッドが用意されている
■それでもプリウスを選ぶべき理由とは?
いま多くのクルマにハイブリッドが用意されている
現行プリウスは、先代型に比べると、全高を40mm低く抑えて前後のピラー(柱)とウインドウも大きく寝かせた。クラウンと同様、最近では珍しく、フルモデルチェンジで外観を大幅に変更している。
外観を大きく変えた理由は販売の低迷だ。2009年に発売された3代目プリウスは、2010年から2015年に掛けて、1カ月平均で2万台以上を登録した。ところが先代型の4代目は、2022年の1カ月平均が約2700台であった。4代目の売れ行きは、3代目の約10分の1に留まる。
2022年の国内販売は、コロナ禍の影響で減少したが、2010年の85%だ。プリウスの10%という減り方は激しい。
プリウスの売れ行きが大幅に下落した背景には、ハイブリッドの充実がある。トヨタは早い時期からハイブリッドをそろえたが、3代目プリウスが登場した2010年頃は、クラウン/エスティマ/ハリアーなどミドルサイズからLサイズの車種が中心だった。2011年に初代(先代)アクアが加わったものの、プリウスには低燃費で価格の求めやすいハイブリッド専用車という特徴があった。
それが今は、売れ筋のトヨタ車には、すべてハイブリッドが用意される。コンパクトSUVならカローラクロス/ヤリスクロス/ライズ。ミニバンであれば、ノア&ヴォクシーやシエンタという具合だ。3代目プリウスで重視された実用的な機能は、前述の豊富にそろったハイブリッドによって満足させられる。もはやプリウスを選ぶ必要性は薄れ、売れ行きも3代目の10%まで下がった。
プリウスの需要が激減したなら、廃止する方法もあったが、トヨタのハイブリッドの伝統を受け継ぐビッグネームだから存続させたい。
ただしプリウスの需要が激減した以上、従来と同じ路線では存続できない。実用性ではミニバンやSUVのハイブリッドに勝てず、WLTCモード燃費も、ヤリスハイブリッドXが達成した36km/Lに見劣りする。従来のプリウスの価値や存在感が通用しなくなった。
そうなるとプリウスの性格や位置付けを変える必要があり、現行型はハイブリッドの付加価値を高めた。