じつは最近増えている「クルマの終活」問題! 人生の相棒と「別れる手段」が見つからない高齢者の悩み (1/2ページ)

この記事をまとめると

■筆者の知人は愛車を手放すタイミングや方法について検討している

■高く売るより大切に乗ってくれる人を探したいという

■高齢であったりネットに慣れていない場合はハードルが高い

誰にでもいつかは訪れる「現実」

 どれほど愛車のことが大切であっても、いつかは必ず別れる日が訪れます。

 筆者が公私ともにお世話になっている、仮にAさんとします。まさに「愛車からの卒業について考えて」いる真っ最中であると伺いました。

 バブルまっただ中である1990年、当時45歳だったというAさん。裸一貫で起業した会社が軌道に乗りはじめ、新車でR32型スカイラインGT-Rを手に入れたそうです。バブル崩壊の影響も最小限に抑えることができ、その後も増車したりはしたものの、一緒に苦難を乗り越えたR32GT-Rだけは手放すことができず、現在も所有しています。気づけばR32GT-Rの車齢は33年、Aさんは78歳になっていました。

 ワンオーナー車、ガレージ保管、フルディーラーメンテナンス、雨天未使用、走行距離7万km台、フルオリジナル……。多少距離が伸びていますが、適度に動かしている証でもあります。手塩にかけたR32GT-Rは、いまや極上車の域を超え、立派な資産です。

 しかし、どれほどAさんがお元気であっても、御年78歳でR32GT-Rを運転するのはそれなりに大変です。まして、ATならともかく、R32GT-RはMTのみの設定でしたし……。ガレージに行ってクルマを眺めるだけで、最近はほとんど乗らなくなってしまったそうです。

愛車の行く末が気になって夜も眠れない

 ご自身の年齢や状況を踏まえ、終活を進めているというAさん。そんなAさんにとって、人生の後半戦をともに過ごしてきた相棒、R32GT-Rのことを考えると夜も眠れないそうです。大切に乗ってくれる人、できれば親交がある人に乗り継いでもらいたい。しかし、思い当たる人が見当たらない。筆者にも「良かったら乗らない?」と声を掛けていただきましたが、金銭的な理由をはじめとして泣く泣く断念しました。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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