「危」「高圧ガス」「火」「毒」「放射性」と表示されたトラック! それぞれ何を運んでて表示を見かけたらどうすべき?

この記事をまとめると

■「危」、「高圧ガス」、「火」、「毒」、「放射性」の表示を装着するトラックを見かける

■それぞれどのようなものを運送しているのかを解説

■周囲のクルマはあまり近づかない、車間距離をとるなど安全運転を心がけるべきだ

周囲のクルマは車間距離を十分にとるなど安全運転を心がけるべき

 物流の90%を担うのがトラック輸送だ。そのなかで、取り扱いに慎重を要するものを運ぶには、表示が義務付けられている。「危」、「高圧ガス」、「火」、「毒」、「放射性」などである。

「危」は、すべての危険物が当てはまり、6種類に分類される。我々に身近なものでは第4類として分類される石油製品やアルコールだろう。タンクローリーで運ぶ場合を、移送と呼ぶ。ドラム缶などを使ってトラックで運ぶ場合は、運搬と呼ばれ、輸送形態が区別されている。いずれの場合も、黒地に黄色の文字で「危」と書かれた表示を、車体の前後に示さなければならない。

「高圧ガス」は、4つの種類に分類されている。可燃性ガス・酸素/毒性ガス/液化石油ガス/特殊高圧ガスだ。大型トラックなどでの輸送のほか、酒類などの宅配での軽商用バンに表示しているのを見かけることがある。この輸送で特殊なのは、毒ガス輸送においては万一に備え、防毒マスクか空気呼吸器を携行することが求められていることだ。

「火」は、火薬類を輸送していることを表す。雷管や、空砲、実包などだ。防水や防火を施した梱包をして運ぶ。ほかに、鋼材や毒物、放射性物質と一緒に積み込まないよう求められている。万一爆発を起こしたとき、それら他の積み荷が周囲へ飛び散らないようにするためだ。日中の輸送では、赤地に白で「火」と書いた表示板を車体前後と側面に示す。夜間は、表示板が反射して見える蛍光文字であるとともに、車体前後に150メートル以上離れた距離から目視できる赤色灯を取り付けなければならない。

「毒」は、毒物や劇物を運ぶときの表示だ。塩化水素や無機シアン化合物、アンモニア、ホルムアルデヒドなど、対象は多岐にわたる。防毒マスクや保護手袋、長靴など、運ぶ物質に応じた保護具を、二人分以上携行することが求められている。車両の前後に、黒地に白字で「毒」と書いた表示を掲示する。

「放射性」は、国際的な放射能表示のロゴとともに記載され、放射線を発することで安定する物質(放射性同位元素)を運んでいることを示している。放射線には3種類あり、アルファ線は紙で、ベータ線はアルミニウムで透過を遮断し、ガンマ線は鉛で透過を減らすことができる。それぞれにあった方式での梱包が必要だ。そうすることで、容器表面にほとんど放射線が出ていない場合は、車両への表記は不要とされている。しかし、大量の放射性同位元素を運搬している場合などは、「放射性」の表示を行い、その表示には「この車両に近づかないこと」と書き添えられている。

 いずれの場合も、これら表示をした輸送車両にはあまり近づかないのが無難だろう。万一の接触事故などを起こさないようにするため、車間距離を十分にとるなどの安全運転を心がけるべきだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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