やっぱり最後は人間ありき! クルマの「運転支援装備」に限界を感じるケース4つ (2/2ページ)

高速道路で突然加速!?

 3つ目は、高速道路などでACC作動時に、一定の条件が揃うと両手をハンドルから離したまま走行できるという、ハンズオフ機能がついている車種に多い事象です。ハンズオフ機能を正しく作動させるためには、ドライバーがしっかりと前を向いて安全確認を怠らず、何かあればすぐに運転に復帰できる状態を保っているかどうか、監視する必要があります。その多くは、インパネなどに設置されたモニターでドライバーの目や顔の向きなどを監視しており、目を閉じたりよそ見をすると、すぐにピピピと警告音が鳴り、ハンズオフ機能が解除されることが多くなっています。

 それは確かに、そうしてくれないと安全にハンズオフ走行ができないのはわかりますが、メガネをかけているドライバーの場合に、外からの光がレンズに反射して目が認識できなくなることが多いらしく、何度も何度も警告音が鳴ることがあるのです。また、もともと目が細いドライバーやよく笑うドライバーの場合には、同乗者と会話していて大爆笑した瞬間にもピピピと警告音。きっと、笑った顔だと目が閉じているように認識されるのでしょう。これにも参ってしまいました。このモニター機能は最初に顔を登録する設定があるのですが、この時に笑った顔も登録させてほしいものですね。

 4つ目は、全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)。これは自動車専用道路で前走車との一定の車間距離を保ちながら、設定した任意の最高速度までの間で追従走行をしてくれるという機能です。アクセルとブレーキの操作が不要になるため足をラクにしておくことができ、ハンドル操作支援とセットになっているものなら、手を軽くハンドルに添えているだけで車線の中央を走行してくれるので、長距離ドライブの疲労感がかなり軽減されます。

 ただ、これにもありがた迷惑な事象があって、直前を走っていたクルマがいなくなった瞬間に、その先のクルマに追いつこうと、アクセル全開でものすごい加速力でグワーっと突き進んでいくのです。ドライバーは状況がわかっているのでまだいいですが、同乗者はいきなりの全開加速にビックリ仰天。「どうしたの? 怒ってる?」なんて心配されることもあるほどです。

 また、これが直線ではなくカーブでも、お構いなしに設定速度まで全開で加速してしまうので、慌ててブレーキを踏んで減速しなければいけません。とくに、IC出口やジャンクションでの急カーブで、カメラやレーダーが前走車をロストした時にも同じことが起こるので、恐怖さえ感じます。最新モデルでは、ナビのデータと連動して「ここはカーブだな」とクルマが認識して速度を抑えてくれたり、こうした怖いことが起こらないように改善されていますが、まだ完全にACCに任せっきりにするのはやめた方がいいですね。

 ということで、ついているとお守りのようで安心感が高い先進安全装備ですが、どれもまだ弱点はあり、完璧ではないということは頭に入れておきたいところです。ドライバーがうっかりミスしたり、気が付かなかったところや苦手なところをサポートしてくれたら御の字、という気持ちで使いこなしたいものですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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