「走れていても」取り返しのつかないダメージに至ることも! クルマのエンジンオイルを換えないと起こる悲劇 (2/2ページ)

異音・振動・白煙はクルマからの不調の合図

 ただ、内部ではどんどんと汚れが発生してオイルに取り込まれていくし、量も減っていく。これが第一段階だ。この量が減っていくというのはピンと来ないかもしれないが、オイルもわずかずつだが、蒸発する。実際、オイルの性能には蒸発についての項目があるほどだ。もちろん、ピストンとシリンダーのすき間から燃焼室に入り込んで燃える分もある。量が減ってドロドロになれば、異音が大きくなり燃費も悪くなるし走りのフィーリングも悪化する。それでも、これらは徐々に進行するのでなかなか気がつかない。オイル交換への意識が低い人であればなおさらのことだろう。

 その後も走れることは走れるが、問題となるのはオイル量の減りだ。あまりに減ると、オイルを吸い上げなくなって油圧警告灯が点灯して、やっとプロに見てもらうことになるだろう。油圧警告灯が点かなくても、中はスラッジ(泥みたいな汚れ)が溜まるだけでなく、それらが固まって岩のようになっている。当然、除去するにはオーバーホールレベルの作業が必要になる。

 ただし、量は別として走れないかというとそんなことはなくて、調子はかなり悪くなっても、走れてしまう。スラッジの塊が大量に発生しても、それらは回転部分など以外のエンジン作動には直接関係ない場所であって、肝心の動いている部分には溜まらないからだ。

 おおよそ4〜5万kmまではこのような状態なので、とりあえず動くというのは事実。表面的にはとくに問題ない状態だ。また、エンジンが動くならいいじゃないかという見方もできなくはないが、動くというだけで、各部の磨耗は進んでいて、分解してみるとカムシャフトやタペットにはかじりが発生しているし、ピストンやシリンダーはガリガリな溝ができている可能性は高い。というか、確実にできているだろう。これらが起こっても平気だとしたら、ホントにオイル交換は5万km毎でもOKということになってしまう。

 この状態でも乗り続ければ、我慢できないほど異音が大きくなったり、白煙を吹いたりなど、深刻な状態になってしまう。このレベルになるともう元には戻せない。少々のスラッジなら、除去できたりするが、岩石レベルになると、先に触れたように分解して除去して、摩耗した部分は新品へと交換するしかないものの、それは現実的ではないので、エンジンは結果的にオシャカ。

 ちなみに最近では、オーバーホール用のオーバーサイズピストンは用意されないことが多いので、シリンダーにキズが入るともうダメ。結局は積み替えか、クルマの買い替えで、オイル交換をケチったばかりに高くつくということになる。

 いま、動いているから大丈夫という表面的な判断は泣きを見るだけ。メンテナンスフリーが進むなかでも、いまだに定期的にオイルを交換しなければならないというのは、それなりの理由があるというわけだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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