歩道を走るオートバイをAIカメラで取り締まり! 日本がノロノロに感じるタイの驚くべき「デジタル化」の波 (2/2ページ)

日本もデジタル化を有効活用すべき

 バンコクをはじめ、インドネシアの首都ジャカルタやアメリカ・ロサンゼルス、台湾の台北などは毎年仕事で訪れるのだが、そのたびにデジタル社会が目に見えて進んでおり、「デジタル化って便利だなあ」と感じる。一方、「他人の年金情報を見ることができた」や、「コンビニで住民票を取ろうとしたら他人の住民票がプリントアウトされた」など、アメージングな不具合が多発するマイナンバーカードをはじめ、日本のデジタル化は、とくに公官庁が絡むと利便性が高まるというよりは、「紙ベースのほうがまだ面倒くさくないしリスクヘッジ効果は大きい」と感じるのは、筆者が単に歳取ったオッサンだからというだけではなく、多くの年代で共感してくれるものと信じている。

 これは、制度を広めようとする政治家やお役人に、「どのような便利なデジタル社会にしようかという絵図面を描ける人がおらず、どのようにしたら国民に便利なシステムになるのか」という想像力の決定的な欠如があるなか(国民の個人情報の軽視もあるだろう)で、民間企業にシステムの開発及び運営を丸投げしている限りは、真のデジタル(国民生活がより便利で豊かになるデジタル社会)化は遅々として進まないのではないだろうか。むしろ、無理やり進めてトラブル続出というのを繰り返し、国民からの信用失墜がいつまでも続くことになるだろう。

 今回のバンコクのトピックは、オートバイを使う市民にとっては有り難くない話かもしれないが、歩道をオートバイが我が物顔で走るのは歓迎すべきことではない。日本でさえ歩道を我が物顔で走るオートバイや四輪車がそこかしこで目撃されているし、交差点の角地にあるコンビニの駐車場を抜ける「コンビニワープ」など、「行儀の悪い運転」は数え上げたらキリがない。

 デジタル化では、タイなどの新興国のほうがはるかにスピーディに便利なシステムが導入されているのだから、バンコク首都圏庁のようなものを参考にして、日本でも導入してみてはいかがだろうか(じつは日本では密かに今回紹介したバンコクの動きを超えるAIを活用した監視カメラによる犯罪捜査システムが確立され、すでに犯罪捜査に活用されているという噂もある)。

 単にいままでのアナログ式の行政手続きなどをデジタル化するのではなく、いままでのやり方から見直さない限りは日本のデジタル社会には「利便性の高さ」というものが存在することはまずないだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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