排気量じゃない「ビッグブロック」と「スモールブロック」! アメ車のV8エンジンの大小って何が違う? (2/2ページ)

50年間基本設計をほとんど変えなかったスモールブロック

そもそもなんでアメ車はV8なの?

 クルマに興味がある人でも、なかにはアメ車のほとんどはV8エンジンを搭載していると思い込んでいる人がいるかもしれませんがそれは間違いで、直列6気筒や4気筒もあれば、V型でも6気筒モデルもあります。ただ、そのイメージのどおりにアメ車を代表する車種の多くはいまでもV8エンジンを搭載しています。

 ではなぜV8なのでしょう? V8エンジンをアメリカで初めて実用化して搭載したとされているのは「キャデラック」です。単気筒に始まったクルマのエンジンは、パワーとスムースさを求めて2気筒、4気筒と気筒数を増やしていきました。V8が主流になる前は、直列8気筒というエンジンもあったようですが、全長が長すぎて車両の設計を圧迫するため、全長がほぼ半分に出来るV8エンジンが開発されました。

 それでも当初は、コスト面や格付け意識で高級車にしか搭載されていませんでしたが、「フォード」が大衆車向けのローコストで製造できるV8エンジンを開発したのをきっかけに、ほかのメーカーにもV8エンジンの波が広がっていき、ほかのエンジンの存在が薄まるくらいに浸透していったようです。

 これは筆者の推測ですが、「ハーレー」と言えば「Vツイン」という概念がいまやもう崩すのが不可能というくらいに定着したように、あの独特の鼓動感が魅力だったり、エンジンサイズとパワーがアメリカの国土に対してちょうど良かったりして、V8エンジンがアメリカの消費者の生活や感覚にすっぽりとフィットしたせいだと思います。

シボレー製「スモールブロック」エンジンの魅力

 登場した1955年から2000年の少し前まで、現役として採用され続けた超ロングセラーの「スモールブロック(&ビッグブロック)」エンジンですが、驚くことに、その50年近い間に基本構造はほとんど変えずにブラッシュアップされて製造し続けられたそうです。

 さすがに点火やインジェクションの制御など、時代に応じた技術は投入されていますが、いまではほとんど見なくなった「OHV(オーバーヘッドバルブ)」という古式ゆかしいバルブ駆動方式を最後まで変えなかったのがいちばん驚く部分です。

 1980年代には日本やヨーロッパで性能競争が盛んになり、性能追求に有利なDOHC方式が主流になります。しかし、その頃のアメリカのV8界隈では、そんな性能競争はどこ吹く風。大排気量による大トルクにものをいわせて、広大な直線路をひた走っていたので、古いOHV方式のV8エンジンで十分だったのでしょう(やや偏見アリ)。

 そして、「スモールブロック」エンジンが永く愛され続けた理由のひとつに汎用性の高さが挙げられるでしょう。シボレーが開発したとされる「スモールブロック」ですが、搭載された車種はシボレーだけに留まらず、同じ「GM」傘下の「ビュイック」、「キャデラック」、「オールズモビル」、「ポンティアック」、「ホールデン」などの主な車種にも標準モデルとして305&350キュービックインチの「スモールブロック」が採用されていました。もしかしたら開発の時点で汎用化を狙っていたのかもしれません。

 そのため、生産が終了したいまも現存数はかなり多く、社外品を含む部品供給の豊富さもあって、いまだに修理して使い続けられているようです。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
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釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
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