世界で一番愛されているスポーツカーのエンジンはV8 OHVってマジか!? 直4でもV6でもV12でもない理由はドコにある? (2/2ページ)

世界一の愛されスポーツカーエンジンはV8 OHV?

 むろん、このほかにもエンジンごとにその魅力を発揮しているクルマやシチュエーションは星の数ほどあるはず。世界でもっとも愛されているエンジンを選び出すのは「ちょっと無理!」かと思いきや「スポーツカーに搭載されていて、生産台数が世界で一番多いエンジン」というソリューションがありそうです。これなら主観を除き、ともかくは数字から導き出せるかもしれません。

 そこで、今回は2シーターのピュアスポーツカーに的を絞ってみましょう。たしかに、クーペ/セダン系スポーツカーもあるっちゃあるうえに、BMW M5みたいな素晴らしいエンジンも存在しています。が、シンプルに世界最愛を求めるためには、涙を呑んで今回は見送りとします。

BMW M5(初代)のフロントスタイリング

 すると、ダントツで生産台数が多いのはシボレーのコルベット。なにしろ1953年から製造が開始されていますから、C1からC8(2022年まで)をトータルすると171万6240台という数に上ります。

 もちろん、初期には直6搭載モデルも存在しましたが誤差の範疇と考えても差し支えないでしょう。それ以外は、ほとんどすべてがV8、しかもOHVというスポーツカーエンジンの流行からは大いに外れたもの! ですが、厳然と世界で一番生産されている「スポーツカーのエンジン」であることは間違いありません。

シボレー・コルベットの第1〜8世代までの写真

 もっとも、アメリカでは複雑な機構をエンジン上部に構えるDOHCやSOHCよりも、重心高が低くなるOHVが好まれていることも見逃せません。「ずいぶん古臭え」と思うのもごもっともですが、掘っ立て小屋でヨボヨボの爺さんがでっかいレンチ持って出てくるような工場も少なくないアメリカでは、「古くても確実なもの」が通用しやすいということも事実。

 実際、このロジックでいくと、スポーツカーのエンジンどころか、すべてのクルマに搭載されているなかでの一番人気もアメリカ製OHVに持っていかれることもやぶさかではありませんね。

シボレー・コルベット(C8)のエンジンルーム

 もっとも多く生産されているエンジンがもっとも愛されているかは難しいところですが、少なくとも「愛されるチャンス」はコルベットのV8エンジンがダントツ。これに納得できないとしたら、ご自分のエンジンをより深く愛することで対抗してみてはいかがでしょう。たとえば、いったんクルマから降ろして、洗浄槽に一緒に入るとか、全バラして一から自分で組みなおすとか、愛情表現はいくらでもありますぞ(笑)。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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