穏やかな走りばかりだとクルマの調子を悪くする! エンジンを回さなすぎると起こる不具合とは? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■自動車のエンジンに不調を招く「カーボン(煤)」

■低回転域を多用する穏やかな走りはカーボンが溜まりやすい

■負担の原因となるカーボンを発生させないようにする対処法も合わせて紹介

加速が鈍い……と感じたらカーボンが溜まっているかも

 みなさんは「レッドゾーン」という言葉をご存じですか? メーカーが「そのエンジンはこの回転まで回しても壊れないように作ってありますよ」という回転数を示す言葉です。

 スポーツカー乗りなら、せっかくの高性能なエンジンのパフォーマンスを堪能するために、たまにアクセル全開にしてみたりすると思いますが、クルマのスペックの項目で燃費関連がもっとも注目されるようになってきてからは、燃料の消費を抑える意識が優先して、高回転まで回す急加速するといったアクセルを大きく踏み込むことをしなくなってきているように思います。

自動車のタコメーター

 このアクセル控えめな運転ばかりをずっと続けていると、エンジンを労っているつもりでも、じつはエンジンの調子を悪くしていることがあるんです。

 ここではそのようなエンジンの不調を招く操作などの原因を考え、不調を遠ざける方法を探ってみたいと思います。

■低回転ばかりの運行はカーボンを多く発生する

 近頃は耳にする機会が減った印象ですが、少し前までは「たまには全開走行してやらないと、エンジンに煤(すす)が溜まって調子崩すぞ」なんてアドバイスをしたりされたりしているシーンもよくありました。

 実際に整備工場などでは、エンジンの不調で入庫してきたクルマを整備しているケースで、アイドリング調整バルブやEGRバルブなどが煤で詰まりかけて機能を失っているのが発見されることも多いと聞きますので、カーボンの堆積はエンジンに良くないんだなという考えはなんとなく根付いています。

整備工場でエンジンまわりの修理をしているイメージ写真

 では、なぜカーボンが溜まるのでしょうか?

 ずばり、カーボンが発生する原因は不完全燃焼です。混合気が燃焼しきれず燃え残った成分の代表がカーボン=黒い煤です。健康な燃焼状態でもカーボンは発生しますが、低回転やエンジンの温度が低いときはカーボンの発生が多くなります。発生したカーボンは十分な熱と排気の勢いがあればほとんどは排出されて堆積量も少なく済みますが、低回転で燃焼室の温度が低いときは排出もされにくいため、燃焼室やその付近に溜まってしまいやすくなります。

自動車のエンジンの燃焼室

 具体的なシーンとしては、まず気温が低い時期にエンジンが十分に温まっていない状態で走り出すときなどがもっとも煤が溜まりやすいと言われています。エンジンの温度が低い状態では燃料の霧化が不十分で、吸入する空気の温度も低いので着火しにくく、その結果燃焼が万全におこなわれません。それに加えて燃焼の温度が低く排気の勢いも小さいので、発生したカーボンが排出しきれずに溜まってしまうのです。

 これはいまどきのクルマに装備されているアイドリングストップでも同様です。エンジンを切ると温度が下がります。カーボンは始動時にも多く発生するので、わずかの時間ですが、繰り返すことで徐々にカーボンは溜まっていきます。

アイドリングストップ機能が作動している写真

■カーボンが溜まるとなぜ不調を招く?

 カーボンの堆積がエンジンの不調にどう繋がるのでしょうか?

 いちばん影響が大きいと思われるのはバルブまわりへの堆積です。バルブというのは、送り込んだ混合気を燃焼させ、発生した圧力を閉じ込るのが仕事です。バルブにカーボンが堆積すると、塞ぐ能力が十分に発揮出来なくなってしまうんです。

自動車のエンジンバルブ

 燃焼の圧力がピストンを押し下げクランクシャフトを回して推進力になるので、その圧力が逃げてしまうと推進パワーの損失になってしまいます。これがドライバー側には十分に加速してくれないという感触として伝わっているでしょう。

 また、吸気側のバルブにカーボンが堆積した場合もトラブルに繋がります。前出のアイドリング調整バルブはその一例で、吸気バルブから吸気ポートへと逆流したカーボン混じりの燃焼ガスがセンサーや調整バルブなどに付着して、誤作動や作動不良を起こしてしまいます。

汚れた自動車のエンジンバルブ

 また、吸気圧力の逆流で、燃調のズレや吸気温度のエラーなどを招いてそれがまたカーボンの発生につながり……と悪循環を起こし、最終的にはエンジンが始動しない、というケースも考えられます。

 点火にも悪影響があります。カーボンは点火プラグの電極にも堆積します。カーボンは伝導体なので点火自体はおこなわれますが、逆に電極に付着したカーボンに残った火種によって適切なタイミングからずれたタイミングで着火がおこなわれてしまい、それが燃焼異常に繋がります。

自動車用エンジン点火プラグ


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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