話題のBMW「ノイエクラッセ」の元ネタ!? ガンディーニが作った「ガルミッシュ」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

BMWの新世代「ノイエクラッセ」とかつての「ノイエクラッセ」をつなぐモデルとして「ガルミッシュ」に注目した

■ガルミッシュでデザインしたのはベルトーネ在籍時代のマルチェロ・ガンディーニだった

■ガルミッシュは発表後に行方知らずとなったままだったが、2019年に新たに再生された

もしかしてこれは「ビジョン・ノイエクラッセ」の元ネタ?

 BMWがフランクフルトやジャパンモビリティショーで発表したコンセプトモデル「ノイエクラッセ」は、新たなクラスという意味合いどおり、EV世代になってからクルマに乗るような顧客に寄せられたもの。日本でいえば、昭和や平成をぶっ飛ばして一気に令和世代のユーザーにピンとくるものではないかと。そもそも、ノイエクラッセは1960年代にBMW社内で生まれたコンセプトで、現行モデルのご先祖様といってもあながち外れてはいないでしょう。

 今回ご紹介するのは、新旧ノイエクラッセの橋渡しをするかのようなコンセプトモデル「ガルミッシュ」。作ったのは、かのマルチェロ・ガンディーニとくれば昭和・平成世代はもちろん、令和くんたちも気に入ること請け合いです。

BMWガルミッシュのフロントスタイリング

 1960年代、戦後の疲弊から立ち直るべくBMWは「ノイエクラッセ」プロジェクトを推し進め、1500や2000CSといった名作を次々とリリースしていました。敗戦からの復興が波に乗り始めていたドイツは、ノイエクラッセ、つまり戦後を担う新たな世代が中心となっており、ずばり彼らにウケたわけです。

 そして、1970年代もこの勢いで躍進しようと「次の一手」を懸命に模索し、後の初代5シリーズとなるE12の開発をスタートさせました。

BMW5シリーズのフロントスタイリング

 このとき、バイエルンの首脳陣は、ノイエクラッセの新たなイメージリーダーが必要だと考えたのです。それは、新章をむかえるBMWラインアップに強烈なインパクトを持たせ、ドイツの趨勢を体現したコンセプトモデルでなくてはならなかったことは言うまでもありません。

 選ばれたパートナーは、1962年に3200CSをデザインしたベルトーネ。当時のチーフスタイリストはジョルジェット・ジウジアーロで、同車はノイエクラッセ・シリーズのなかでも屈指のスタイリングで、BMW首脳陣も大のお気に入りだったモデル。E12のコンセプトを託すのに、ベルトーネ以上のカロッツェリアはないと考えられても不思議ではありません。

 で、ジウジアーロが去ったあと、チーフの座についたのが誰あろう希代のスタイリスト、マルチェロ・ガンディーニでした。ちなみに、ノイエクラッセとは別に純然たるスポーツコンセプトも同じ時期にガンディーニが作り出し、2800SPICUPとして1969年に発表していますが、のちにこのデザインはアルファロメオ・モントリオールに採用されました。

BMW2800SPICUPのフロントスタイリング

 使いまわしと笑われることもありますが、当時カロッツェリアはどこもフル回転の大忙しだったので、こうした事態はほかにも数多く見られます。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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