中国のBYDはバスの世界でも脅威のフットワーク! JAPANの頭文字「J」を付けたEVバスで日本獲りを狙う (1/2ページ)

この記事をまとめると

BYDジャパンは日本市場向けの電気バス「J7」の予約を開始すると発表した

■BYD J7は、左右独立型アクスルを採用する日本専用設計の中型バスとなる

■BYDは日本市場を重視しており、いすゞの新型EVバスに対抗する新型バスの導入も示唆している

専用開発のEVバスを用意して日本市場を狙うBYD

 11月14日、中国・比亜迪(BYD)の日本法人となる「ビーワイディージャパン」は日本市場向けに中型電気バス「J7」を開発、2024年1月より予約受け付けを開始し、2025年秋に納車を開始する計画を発表した。

 車名のJ7のJは「JAPAN」からとっており、数々の日本専用設計が施されたバスになっているとのことである。その一例として、日本市場向けに2.3mの全幅に合わせて専用開発した左右独立型アクスルを採用していることが発表会で説明された。搭載するバッテリーは、すでにバスだけでなくBYD乗用車でも使われているブレードバッテリーとなっている。

 現状、BEV(バッテリー電気自動車)だけでなくICE(内燃機関)搭載も含め、中型に分類される路線バスはいすゞの「エルガ・ミオ」のみとなっており、発表会見上では、BEVタイプの中型路線バスとしてはJ7が初参入となるだろうとのことであった。ちなみにJ7のボディサイズは、いすゞエルガ・ミオとほぼ同じとなっている。

 いま、路線バス事業者の間では中型路線バスに熱い視線が集まっている。まず、乗務員の間で運転がしやすいと評判になっているようである。大型路線バスの運転に比べると、ダウンサイズになることもあり、ストレスが軽減するようだ。さらに、中型二種免許での乗務が可能となることも、事業者も含めてメリットが大きいようである。

 さらに、現状の路線バス事業者の置かれている状況も深く影響しているようである。とくに地方部では、朝夕ならばまだ通学の学生も利用するので大型バスでも混みあうこともあるが、日中はガラガラで運行していることがほとんどというケースが多い。

 つまり、大型路線バスメインでの運行を行う必要がなくなってきているのである。朝夕だけ大型路線バスを運行し、ほかの時間帯は中型路線バスを運行することで、安易に利用者が少ないからと路線廃止することなく、できるだけ路線維持ができるのではないかとのこともあるようだ。大型路線バスを購入するよりは、中型バスのほうが購入費用を抑えられるからである。

 仮にJ7に前扉のみの「1ドア車両」があれば、企業送迎用バスとしても重宝されることになるだろう。高速道路のインターチェンジ近くや、国道のバイパス脇などに大きな物流倉庫が続々と建設されている。そしてたいていは、最寄り鉄道駅からの路線バスがなかったりするので、いまそのような物流倉庫も含めた企業送迎需要というのも旺盛になってきている。「サスティナビリティ」などを強く意識する企業ならば、BEV中型バスを選択してもおかしくないだろう。

 路線バスの範疇をやや逸脱し、1ドアで乗車定員を少なめにした豪華仕様があれば、インバウンド(訪日外国人旅行客)の多人数グループによる貸切需要も十分見込めるだろう(いまは大型観光バスがその需要を担っている)。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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