東北はアダルティ! 関東は見えない美しさ! 関西はド派手! かつてデコトラには「地域による文化の違い」が存在した (2/2ページ)

デコトラの個性は薄れてきている

 関西に入ると飾り方は一転する。派手さを好む地域性であることも手伝い、大阪人を中心に見た目重視のデコレーションが脚光を集めた。簡素な作りの大型パーツを装着し、そこにアンドンやマーカーランプといった電飾パーツを追加する。足もとにおいても、関東ではメッキやアルミホイールが好まれるが、関西では安価なホイールキャップで済ませ、その分派手な装飾へと費用をまわしていた傾向にあった。そんな飾り方は関西風アートと呼ばれ、1980年代のデコトラ界を席巻。いまでも少数派ではあるが、愛されている手法となっている。

 同じ関西でも、兵庫県にはもうひとつの飾り方が存在する。それは淡路島から派生したもので、精巧なるステンレス架装を売りとする「神戸・淡路仕様」だ。キャビンをステンレスで覆い尽くすという刺激的な飾り方だが、硬い素材を紙細工のように施工する腕の良い職人たちが存在したことで生み出された。四方を海に囲まれた淡路島のデコトラ野郎は、車両が錆びないようにと兵庫県の本州に位置する工房で飾りを製作したのがルーツだ。そのため、神戸・淡路仕様という呼び名が定着している。

 そのほかにも、三重県の鮮魚便や北海道・九州には関西のようなド派手なデコトラが多く、中国地方においては個性的でいてハイセンスなデコトラたちが数多く活躍していた。そんな昭和時代の美学を現代でも継承するデコトラ野郎も存在するが、グローバルな世界になったことで地域色は年々薄れてしまっている。デコトラ界に必要なはずの個性や味といった魅力が、日を追うごとに消えてしまっているのだ。

 そんな時代だが、筆者と同じことを危惧する古くからのデコトラファンも多いからだろう、古き良き時代の飾り方を彷彿とさせるデコトラも増えてきている。昔の味といまの技術力を組み合わせることができたのなら、きっとデコトラ界はさらなる飛躍を遂げるはず。

 日本が誇るデコトラ文化であるだけに、是が非でもその火を灯し続けて欲しいところだ。


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