こんな見た目でも走りはかなりスポーティ
運転席に乗り込み、エンジンを始動すると、V8エンジンが初爆で迫力あるサウンドを発し、アイドリングに移行してからも、V8特有のサウンドを聞かせてくれる。電動化モデルが増え、純粋なICE(内燃機関)のエンジンが減って行く現状において、こんなワイルドなサウンドを轟かせるモデルは今後出てこないだろう。そういった意味ではパフォーマンス以上に希少性をもたらせてくれている。
トランスミッションは電子制御の8速ATで、金属製のパドルが装備されマニュアル変速も可能だ。
0~100km/h加速5.2秒、最高速度240km/hという圧倒的な動力性能を誇り、最大渡河性能900mm(静水状態)は電子制御エアサスペンションにより車高を高めることで可能としている。
今回、そうした電子制御系を1ボタンで最適制御できるテレインレスポンス2(ダイナミックプログラム付)が備わり、市街地から悪路まで常時オンにしておけば最適なセットアップが得られるようになった。
試乗ルートは東京都内の一般道であったため、こうした機能がフルに作動することはなかったが、機会があれば雪道や泥濘路など本格的なオフロードで試したい。
と言うのも、近年スーパーカーを購入してもサーキット以外で性能を試すことは許されないのと同様に、こうしたクロカンSUVのオフロード性能もちょっと田舎の悪路で試すこともできなくなっている。ハイスピードでサーキットを走行するのに専門的なトレーニングを受ける必要があるように、クロカンSUVも同様な知識や経験を積んでおく必要がある。
そういう意味ではメーカー間の垣根を越えて、悪路専用のクローズド施設を用意することが、こうしたモデルを販売するメーカーの責務となってきていると思える。
一般道で走る限り、ややリヤサスペンションの突き上げが強く感じたが、速度レンジが高まり、また悪路などであれば良好な乗り心地が得られるはず。
ディフェンダー90ほどの悪路走破性を持つクルマが本領を発揮するステージは、国内では無いに等しく、それだけに非日常的な所有する歓びも倍増するのだということを改めて思うのだった。