手放し運転できる技術をファミリーカーに投入したセレナはスゴイ! 2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【御堀直嗣編】

この記事をまとめると

■2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員である御堀直嗣さん

■トップとなる10点を日産セレナに投じた

■すべての乗員を快適に移動させる技術を売れ筋のファミリーも出るに投入したことを高く評価

日産セレナは革新的な1台だった

 2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーの投票で、私が1位としたのは日産セレナだ。

 セレナは、前型の途中から日産独創のシリーズハイブリッドであるe-POWERを採用し、大きく販売を伸ばした。そしてファミリー向けミニバンでの販売1位を獲得したこともある。新型セレナでは、e-POWERが第2世代となり、発電専用エンジンの採用と、エンジン始動時期の制御を改善することにより、エンジンが掛かったことを気づきにくくすることで、モーター駆動専用であるシリーズハイブリッドの特徴をより高め、EVに乗っているかのような快適な乗り心地と走りを進化させた。

 また、日産の運転支援機能であるプロパイロットは、前型セレナから日産車で装備されるようになり、これも日々進化しているが、新型セレナで車種追加されたLUXION(ルキシオン)には、最先端のプロパイロット2.0が採用された。プロパイロット2.0は、先にスカイラインで実用化されたが、運転支援水準はレベル2のままで、高速道路など自動車専用道路においてハンドルから手離しできるハンズフリーを可能にした。

 その感触は、他社のハンズフリー機能と比べて安心感や信頼度が高く、使い勝手のよい技術に仕上がっている。これが、ファミリー向けミニバンの代表車種のひとつであるセレナで選べることにより、家族や仲間と大勢で移動する機会のある車種の安心をより高めることにつながる。

 こうした運転支援機能を積極的に活用しやすくすることにより、安全性の向上はもちろん、同乗者のクルマ酔いなどを抑制する副次的効果も高まり、乗員すべてが快適に長距離移動できることになる。

 プロパイロット2.0を装備するルキシオンは、従来ファミリー向けミニバンという価値が主体であったセレナに、より上級の乗り味をもたらした。トヨタのエスティマやホンダのオデッセイが生産を終えたあと(その後、オデッセイは販売を再開することになった)、それらを愛用してきた人たちの次の選択肢となりえる車種といえる。実際、ルキシオンの下取り車には、エスティマやオデッセイがあるという。

 ファミリー向けミニバンでありながら、より上級なミニバンを愛用してきた人たちをも満足させる車種追加は、新たな市場を開拓したともいえる。この発想は、ノートとノートオーラの戦略に似ている。

 技術の日産らしい優れた先進技術を背景としながら、それを使いやすく、信頼させる安心によって、上質な移動をもたらす新型セレナは、一年を代表するクルマと考えた。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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