いそうでいないガチライバル! 激安で話題のホンダWR-Vはなにげにめちゃめちゃイイトコ突いてるクルマだった (2/2ページ)

ガチンコなライバルが見当たらない価格とキャラクター

 さて、ここではWR-Vのライバル車を探してみることにする。ホンダファンなら、すでに報告したように、価格とボディサイズ(全長と全幅)で接近し、基本プラットフォームを共用する(WR-Vはセンタータンクレイアウトではない)ヴェゼルと悩むかもしれないが(ハイブリッド派ならヴェゼル限定だが)、他メーカーに視野を広げてみると、例えばトヨタ・ヤリスクロスの1.5リッターガソリン車の最上級グレードとなるZ”Adventure”、233.1万円(2WD)がある。

 ただし、ボディサイズは全長4180×全幅1765×全高1590mm、ホイールベースも2560mmと、WR-Vよりひとまわりコンパクト。室内空間のゆとりはもちろん、ラゲッジルームの寸法も、後席使用時で奥行790mm、幅995mmと、WR-Vにリードされる。

 ならばカローラクロスがあるじゃないか……となるのだが、こちらのパワーユニットは2リッターで、セグメントもBセグメントであるWR-Vに対してCセグメントとなり、価格こそガソリン車で218.4万円(G”X” 2WD)からとと競合するが、クラスが異なり、直接的なライバルとはいいにくい。

 ボディサイズにしても、全長4490×全幅1825×全高1620mm。ホイールベース2640mmと、ホイールベースはWR-Vと同等だが、全長、全幅ともにひとまわり大きいのである。いい方を変えれば、Bセグメント最大級のホイールベースの長さと室内空間のゆとりを持つのがWR-Vなのである。

「クルマはコンパクトでリーズナブルなのがいい。しかし、カッコよく、アウトドアやキャンプ、車中泊などの荷物をたっぷり積みたい……」という要望に、見事に応えてくれるのが、全グレードにホンダセンシングやLEDヘッドライト、パドルシフトなどを備えた、Z世代にもウケそうなWR-Vということになる。

 つまり、中身を知れば知るほど、意外にも国産コンパクトクロスオーバーモデルのなかで直接的ライバルを見つけにくい商品性の持ち主というわけだ。

 それが吉とでるか否かはまだ分からないが、どこかで聞いたことのあるフレーズで恐縮だが、WR-Vを「ちょうどいい」お手頃クロスオーバーSUVと感じるクルマ&SUVマニアじゃない老若男女に、ガソリン、FFのみの展開とはいえ、クルマの価格高騰時代だからこそ、けっこうウケるんじゃないかと思ったりする。

 とはいえ、意外にヴェゼル、N-BOXなんかがショールーム内の競合車種(!?)になるかもだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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