かつては「4つのタイヤに盛り塩」「納車にくる方角の指定」なんて験担ぎもあった新車販売現場! ただしいまでも「晴天時納車」だけは重要だった (2/2ページ)

納車後の申告はトラブルの元!

 同じ理由で納車も晴天の昼どきがベストとなる。新車は工場で完成車として出荷されたあとは、木箱などに入ってディーラーへ配車されることはない。保護シートなどがボディに貼られているケースもあるが、基本的には外装剥き出しのまま陸送などで運ばれる。

 そのため販売現場では、目を凝らせば見えるような細かいような傷は、新車であろうとあって当たり前と思いながら納車準備を進めるように心がけているとも聞いている。昭和のころには、納車予定車に傷を発見したら、納車のときにその傷の前にずっと立っていて傷を発見されないようにして新車を納めたといったエピソードもあったとか。

 ただし、仮に納車時にボディに許容できないような大きな傷を発見したときは、当該新車の受け取りを拒否し、購入したディーラーとその解決策を探っていくようにすること。そのまま受け取った時点で「傷を了承して引き取った」ということになるからである。

 ちなみにボディカラーにもよるが、朝早めや夕方など太陽が傾いていると細かい傷が見えなくなることがある。太陽光、しかも真上に太陽があるときは傷の確認もしやすいものといえる。最近はディーラー店舗内に納車室といったものを設けるディーラーもあり、外装確認しやすい照明配置になっていることも多いが、できるならば太陽光の下へ当該車両をもっていき再確認したほうがいいかもしれない。

 納車はセレモニーではなく、発注したとおりにオプションが装着され、傷の有無やエンジンコンディションなどを確認し、問題ないことを購入者が確認して引き渡すという大事な業務なのである。そのため、一度店舗を出たあとに見覚えのない傷を発見して抗議したとしても、問題がないと本人了承を得て引き渡しているという前提があるので、問題解決がなかなか満足のいくものとならないことが多い。忙しいからなどの理由で、夜間や荒天時に新車を引き取るのは可能な限り避けたほうがいいだろう。

 前述したとおり、いまどきの納車は店頭納車が主流なので、わがままな客にも思われてしまうかもしれないが、「天気予報をみると、納車日は天気がかなり悪いようだから延期したい」とするのもいいだろう。ただし、あまり敷地の広くない店舗では保管場所確保の問題から断られることもあるので、契約時に最終的な納車日は天気次第といった特記事項を設けるのも有効かもしれない。

 なお、天気とは関係ないが、年末には「納車は越年するが、登録だけさせてくれ」といった話もよくある。年内に新車が手元になくとも、納車されるときは越年して1年落ち車となるので、新車を買い慣れている人は契約時に新規登録が年内に間に合うタイミングだったとしても、「越年登録」、「越年納車希望」などとセールスマンにしっかり伝えるようにしているとも聞いたことがある。

 まあ晴天納車はあくまで理想だし、個々でその判断は分かれることでもある。ただ、ボディに雨滴もついてしまうので、やはり雨天時納車はリスクが高まる。細心の注意が求められるのは間違いないだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報