「キーを捻れば」「ボタンを押せば」エンジンがかかるのはイマドキの話! 昔のクルマ好きなら誰もが引いた「チョーク」とは (2/2ページ)

いまでは機械が同じようなことをやってくれる

 ちなみに、エンジンが冷えた状態で始動するときに燃料を濃い目にしないといけないのはインジェクションによるエンジンでも同様。コンピュータ制御のインジェクション車においては、始動時の燃料増量やある程度までエンジンが暖機するまでのアイドルアップなどを自動的に行うので、ドライバーが意識しなくていいだけの話だ。

 振り返れば、キャブからインジェクションへ移行する過渡期においては「オートチョーク」といって、温度に応じてチョーク機能をオン/オフさせる仕組みが採用されていたこともあった。

 筆者が認識している範囲でいえば、原付スクーターでは2000年代に入ってもオートチョーク機構を採用しているモデルが多かったと記憶しているが、原付スクーターもインジェクション化が進むなかで過去のメカニズムとなっていった。

 また、オートチョーク機構は経年劣化をするため、古くなると交換が必要なので、ちょっと古い原付スクーターなどでのエンジン始動不良などでは疑ってみるべきなのもチョーク関連であることが多かったりする。

 というわけで、チョークという機構自体は遺物的メカニズムといえるものだが、旧車好きであったり、キャブ車に乗ったりすることがあるならば、その使い方や役割を知っておくべきだろう。

 逆にいえば、キャブ車に乗ることがないのであれば、チョークに関する知識を身に着けておく必要はないだろう。もっとも、前述したようにインジェクション車でもエンジン始動直後にアイドリング回転を上げるのは、かつてチョークを引いて燃料増量をしていたのと同様といえる。

 チョーク機構の仕組みや使い方は知らなくとも、冷間時にエンジンをかけるときには燃料増量が必要という知識があれば、アイドルアップしている間はエンジンの暖機が済んでいないという判断ができる。このあたりに配慮して運転すれば、エンジンの寿命を延ばすことができるかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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