新車カタログをみると燃費が2種類あるけどナゼ? WLTCとJC08モード燃費の違いとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■自動車のカタログに表記されている「JC08モード」と「WLTCモード」の違いを紹介

■JC08モードとWLTCモードでは走らせ方が違う上に荷物も想定しているので数値に開きがある

■かつてはエンジン出力も2種類の測り方があった

モード燃費の測定は実際に走らせるわけじゃない

 エコであることが当たり前の条件になったのか、それともゼロエミッションではなくてCO2を排出するのであれば大差ないと社会が考えるようになったのかはわからないが、令和のクルマ選びにおいては、平成時代ほど燃費性能と商品力がダイレクトにつながっていないように感じることもある。

 とはいえ、CO2排出量を総量的に規制するという動きは世界的なトレンドである。化石燃料を消費するクルマにとって燃料消費=CO2排出であり、「よき市民」であるほどCO2排出量を減らすためには省燃費なクルマに乗るべきと感じていることだろう。

 CO2排出による環境への影響を抑えるという意味で、本質的に重要なのはリアルワールドの燃費であるのはいうまでもない。とはいえ、いわゆる“実燃費”は環境やドライバーのスキルなどによって変わってくる。そこで参考となるのが、カタログスペックに掲載されている「燃料消費率」である。

 そして、昨今の新型車においては「WLTCモード燃費」と「JC08モード燃費」が併記されているケースが多い。はたして、このふたつのモード燃費は何が異なるのだろうか。

 まず前提条件でいうと、モード燃費の計測はシャシーダイナモと呼ばれる、室内に設置された計測器に実車を載せて行われる。「計測器を使っている段階でリアルワールドとかけ離れた測定方法だ!」と批判したくなる気持ちもわかるが、温度や湿度などの条件を一定にしなければ横並びで比較することはできないため、条件を統一することは当たり前といえる。

 当然ながら、シャシーダイナモ上での走らせ方も合わせなければ比較するデータとしての意味はない。すなわち、JC08やWLTCというのは、計測用走行パターンの名前と捉えればいいだろう。また、シャシーダイナモ上で、そのまま計測するとさまざまな走行抵抗は無視されてしまう。空気抵抗や転がり抵抗については車種ごとに計測した上で、それぞれに負荷値として設定することでリアルワールドに近づけるという工夫もされている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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