スバルとRyzenでお馴染みのAMDが手を組んだ! 元祖ぶつからないクルマの「アイサイト」がさらに進化する!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スバルは1989年からステレオカメラによる運転支援システムの開発に取り組んでいる

■スバルは先進運転支援システム「アイサイト」を全車に標準装備している

■次世代アイサイトの開発に向けて、大手CPUメーカーのAMDがスバルと協業する

スバルの「アイサイト」を次の次元へ

 日本の自動車社会に先進運転支援機能の価値を知らしめたのはスバル・アイサイトといっても過言ではないだろう。そのアイサイトが、「2030年死亡交通事故ゼロに向けて進化する」内容についての発表が行われた。

 次世代アイサイトのコアテクノロジーとなるのは、スバルが独自に進めている画像認識AI(人工知能)であり、その性能を引き出すためにコンピュータチップ大手のAMDと協業して、アイサイト専用チップを開発するという。

 この、ふたつの重大発表について、できるだけわかりやすく、具体的に期待できるユーザーメリットについて解説してみたい。

 まず、スバル独自の画像認識AIについて。

 スバリストにはお馴染みだろう、スバルは2020年12月渋谷にAI開発拠点としてSUBARU Labを設置している。AI人材の交流も盛んな場所で、これからのクルマを変えていくAI技術を開発しようというわけだ。

 いうまでもなくステレオカメラをメインセンサーに使っていることがアイサイト最大の特徴。1989年にステレオカメラによる運転支援システムの開発をスタートして以来、ふたつのカメラ映像から距離データ点群による立体映像を生成するという画面処理ロジックはインハウスで内製開発してきている。

 SUBARU Labにて開発中のAIは、そうした画像処理を進化させるもので、簡単にいえば「走行できる部分を認識できる」機能を実装できる。たとえば、積雪によって白線やガードレールなどの目安が消えてしまっている状況においても、AIを使えばどこが走行可能なのか把握できるという。実際に、LiDARや地図情報を利用することなく、AI+ステレオカメラのみで雪道走行をすることは可能だったというから驚かされる。

 また、路上に人間が横たわっているような状況において、画像処理だけでは道路が膨らんでいるようにしか認識できないが、AIを使うことで、そこに何か物体が存在している……と捉えることができるようになるという。

 結果として、スバルが開発した画像認識AIを使うことで、次世代アイサイトは降雪路や市街地といった従来のアイサイトシステムでは制御が難しいとされているシチュエーションにおいても機能することが期待できるのだ。メーカーとして、そこまでを保証するには幾重ものハードルがあるだろうが、アイサイトの可能性が広がるのは間違いない。

 そして、スバルが独自開発したアイサイト用AIを活用するには、AIの機能を活かせるだけの処理能力が必要となる。『SUBARU×AMD』の協業というのは、このために欠かせないピースといえる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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