【試乗】悪路シロートでも安心かつ余裕で走れる! 迷ったら「ヨコハマタイヤ ジオランダーA/T4」に偽りなし!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ヨコハマタイヤのオールテレーンタイヤ「ジオランダー」に新製品が追加された

■「A/T G015」の後継モデルとして「ジオランダーA/T4」が設定された

■オンロードから悪路まで安定したパフォーマンスを発揮した

人気のジオランダーがフルモデルチェンジ

 砂利道シロート。泥濘路シロート。オフロードなんてほとんど走ることのない男にオールテレーンタイヤのインプレッションを任せようだなんて、度胸あるよなぁ。……なんて他人事のような体でいたのだけど、いざ試乗を終えてみて、なるほどそういう意図があったのか、と腑に落ちた。シロートにもわかるできのよさ。あわよくばそういうセリフを引き出せるかも、と考えたのだろう。

 その狙いは見事にビンゴ! だった。横浜ゴムの新しいオールテレーンタイヤ「ジオランダーA/T4」は、僕のようなオフロードのシロートにも「おっ!?」と感じ取れるくらいのパフォーマンスを示してくれたのだ。

 ご存じのとおりジオランダーは、横浜ゴムのクロスオーバー/SUV/ピックアップトラック用タイヤのシリーズで、オンロード用からガチのラフロード用、コンフォート系からスポーツ系と幅の広いラインアップを誇っている。そのなかにあってA/T4は、バランス型といえる立ち位置にある。タイヤに求められる性能で円グラフを作ろうとしたら、比較的綺麗なマルが描かれるタイプのタイヤだ。これまでそのポジションを守ってきた「A/T G015」の後継にあたるという。

 新型であるA/T4は、いったいどこが違うのか。

 もっとも大きな違いは、ルックスだ。タイヤの顔というべきトレッド、そしてサイドウォールに、いかにもオフローダー用に見えるヘビィデューティなデザインが施されている。SUVやピックアップをタフな雰囲気で乗りたいファッショニスタには、気もちがピクッと動かされる存在感の強さだ。

 もちろんこのデザインは、単なるデザインのためのデザインなんかじゃなく、ちゃんとオールテレーンタイヤとしての性能向上も狙ってる。トレッド部の真ん中の3列に関していえば、もっとも中心となる列に同じデザインのブロックを背面合わせにして斜めに配置し、その両側を2種類のブロックの連なりで挟み込む構成とすることで、オフロードでのトラクション性能を稼ぎつつ、カットやチッピングへの耐性を引き上げている。さらにその両脇のショルダーブロックは同じ形状のシングルピッチとし、パターンノイズを低減させつつ乗り心地を向上させている。

 それらブロック間の溝は結構なジグザグ模様を描いていて、これもオフロードでのトラクション性能やウエット路でのグリップ性能を高めるのに貢献している。トレッド上には3Dのサイプがウェーブ型に深めに刻まれ、雪道やウエット路など滑りやすい路面でのトラクションを向上させる。ショルダー部の溝は深く広く掘られ、水や雪、土などの排出性を確保。トレッド部の接地形状もよりスクエアになり、それもオフロードでのパフォーマンスと偏摩耗への耐性を高めている。

 まったくの新開発ゆえ、それ以外にも数え切れないくらいの新しい技術や考え方が導入されていて、世代がガラリと切り替わった感じだ。いうまでもないことだが、メーカー基準のM+S(マッド&スノー)マークはもちろんのこと、公的に冬用タイヤとしての性能をもつことが認証された証であるスノーフレークマークも刻まれていて、冬用タイヤ規制のなかでも走行することが可能だ。

 とまぁ理屈は説明してもらってなんとなく理解できたわけだが、冒頭でもお伝えしたとおり、僕は砂利道シロートにして泥濘路シロートのオフロード門外漢。「はたして今回のオフロードコースを走ってなにが感じ取れるのだ?」と内心ちょっとばかりオドオドした気分になっていたら、最初の試乗はオンロードだった。試乗車はサスペンションなどがチューンアップされたヤル気仕様のスズキ・ジムニーと、ノーマルの現行トヨタ RAV4だった。

 まずはチューンド・ジムニーで走り出す。会場となった軽井沢のアサマレースウェイ周辺の一般道は、路面の表情が穏やかなところもあるにはあるけれど、降雪多めの土地柄ゆえ肌が荒れてたりワダチやウネリがあったりと、スムースではない箇所も多い。試乗車のチューンド・ジムニーはサスペンションなどに手が入っていることもあって、見た目以上にタフな乗り心地。荒れた箇所ではそれなり以上に突き上げ感のある印象だったのだが、タイヤが路面の粗を上手くいなしていく。

 RAV4に乗り換えてみるとその印象はもっと強く感じられて、ほとんど快適といっていい領域にあるように思えた。マフラーが変わってて勇ましいサウンドを聞かせるジムニーのときには気づかなかったが、静粛性の高いRAV4では若干ながらロードノイズを意識させられた。ただし、その音量、音質ともに耳障りというほどではなく、すぐに慣れて気にならなくなった。

 一般的な速度域でしか走ることができなかったものの、ジムニーとRAV4の双方で感じられたのは、スムースにステアリング操舵していくときにはタイヤがとても素直に追従してくれること。わざと急にこじるような操作をしたときにはほんの一瞬だけ反応の遅れを感じたこともあったが、道に合わせて一般的な速度域で普通に走っているかぎり、ヘビィデューティなデザインが施されたオールテレーンタイヤであることをさほど意識させられない。完全なオンロード用タイヤと同等とまではいかないものの、街乗りメインの普段履きタイヤとしても十分に納得できる出来ばえ、といえる。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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