庶民のFFハッチをメーカー自ら魔改造! コスワース謹製エンジンをぶち込んだ「フォード・エスコートRSコスワース」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■欧州フォードはラリーで勝つためにシエラコスワース4×4を開発した

■シエラRSコスワース4×4はエスコートRSコスワースへと進化を果たした

■最後の本気コスワースと呼べるエスコートRSは今後どんどん価値を上げていく可能性が高い

4WDの時代に向けてフォードがWRCに放ったラリーウェポン

 フォード・エスコートといえば、団塊の世代にとっては1960年代のマーク1、すなわちエスコートRSであり、いくらか若いバブル世代だとエスコートRSコスワースを思い出すのがデフォかと。正確を期せば、前者もコスワースがチューニングしたエンジンなんですが、今回は後者のウイング付きをご紹介。後述しますが、並行輸入でそれなりの数が入っているので、国内でも中古車を見つけられないわけではなさそうです。

 1980年代後半、ヨーロッパ・フォードはツーリングカー選手権にグループAマシンの「シエラRS」で参戦し、紆余曲折しながらも最終的にはいくつかのチャンピオンに輝きました。この勢いでもって同じくグループAで戦われていたラリーも参戦したものの、時代はすでに4WDが優勢となっており、いくらバランスに優れたシエラとはいえFRマシンでは苦しい戦いが余儀なくされたのです。

 初代エスコートRSでもってラリーシーンでブイブイいわせていたヨーロッパ・フォードですから「あの栄光をもう一度」となるのは必定。そこで、シャシーの大きさから4WDシステムをブチ込みやすいシエラの4ドア版「サファイア」を使ってシエラRSコスワース4×4を開発したのです。

 基本的にはシエラRSと同じパッケージでしたので、それなりの戦闘力を発揮しただけでなく、市販バージョンはシエラと等しく「優れたハンドリング」や「絶妙な足まわり」と極めて高い評価を受けたものです。が、ラリーシーンはそれほど甘くなく、ランチア・デルタやセリカ4WDの後塵を拝すること多数という有様だったのです。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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