軽快なターンインと安定したロードホールディングが魅力
エンジンは128セダンが1.1リッター直列4気筒SOHCだったのに対し、X1/9にはこれの拡大版で128クーペと同じ1.3リッターが積まれた。
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サスペンションは前後ともマクファーソンストラットで128と同じだったが、実際はワイドスパンのV字型ウィッシュボーンをリヤに採用するなど、ほとんど新設計だった。
ガンディーニらしい明快なウエッジシェイプと脱着可能なルーフが特徴のボディは、実用車顔負けのスペース効率の高さも自慢。コクピットの背後に燃料タンクとスペアタイヤを並べて置くことで、前後にトランクを用意。外したルーフは前側に格納できた。
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ただ、スチールモノコックでこの凝った構造を実現したために、車両重量は当初から900kg近くあった。対する日本仕様のエンジンは、北米仕様がベースでわずか61馬力。途中で1.5リッターに拡大しても66馬力で、ベルトーネブランドになった最終型でようやく欧州仕様になったものの、それでも85馬力だった。
若き日の僕も、中古で1.5リッター版を買おうとしたものの、刺激がいまひとつだと感じて、アウトビアンキA112アバルトにしてしまったという経験がある。
でも過給機をつけたりしなかったからこそ、ミッドシップならではの軽快なターンイン、凝ったリヤサスペンションによる安定したロードホールディングを楽しめたし、ガンディーニのフォルムはマイクロスーパーカーといえた。
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それが新車でも200万円台、中古なら100万円以下でも買えたのは、いま思えば幸せだったといえるかもしれない。