最高の眺望と堂々たる佇まい! 消滅が惜しすぎる2階建てバス「エアロキング」は人生一度は乗りたいバスだった (2/2ページ)

とにかく大迫力で未だにファンが多い大人気モデル

 1990年の平成元年排出ガス規制適合改良を経て、1995年にはフロントマスクがプロジェクター式ヘッドライトを採用したエクステリアに変更。エンジンは8M21型V型8気筒2万1205cc へ変更され、最高出力は420馬力(309kW)、最大トルクは150kgf・m(1471N・m)へ向上し、平成6年排出ガス規制に適合した。

 2000年には平成11年排出ガス規制に適合するため、エンジンを8M21-3型へ変更。シリンダー数や排気量こそ変わらないものだが、最高出力は430馬力(316kW)、最大トルクは155kgf・m(1520N・m)へとさらに向上。2001年モデルでは交通バリアフリー法に適合させるために、車いすスペースも装備されたが、2005年に排出ガス規制に適合することが困難になり、一時的に製造中止となった歴史がある。

 デビュー時は見晴らしのよさや話題性で貸切観光仕様の需要も多く、1階や2階後部をサロンスペースとしている仕様も存在した。しかし、国内の道路車両運送法では全高が3.8m(特別認可を受けた場合は最大4.1m)以下に抑えて車両を設計する必要があり、限られた高さのなかで2階建て車両を製作すると、どうしても天井の高さが低くなり居住性が犠牲となる。

 こういった理由で貸切仕様のエアロキングは徐々に姿を消していき、居住性の面から中2階とも呼ばれるハイデッカータイプのエアロクイーンへとその座を譲ることとなる。

 それでも着席数の多さや眺望の良さなどメリットも多く、都市間高速バスでは重宝され、エアロキングは2008年に再び復活! 「エアロキング ハイウェイライナー」という名称で高速路線バス運用に特化したモデルとなっていた。

 エンジンは新長期規制に適合させるため、V型8気筒 OHVから尿素SCRシステムを搭載する6M70(T4)型直列6気筒OHC1万2882ccへダウンサイジング。最高出力は420馬力(309kW)へ抑えられたが、最大トルクは185kgf・m(1810N・m)と、エアロキング史上もっともトルクの太い仕様となっていた。

 駆動系減速比の低ファイナル化など、あらゆる面で最適なチューニングを図った結果、平成27年度重量車燃費基準値を達成。

 エクステリアではフロントマスクこそ1995年モデルと大きく変わりはないが、灯火類を規制に合わせるため、ボディ後面のデザインを一新し、コンビランプの配置などを見直すことで安全性が向上している。

 しかし、ポスト新長期規制に適合させることが困難となったため、2010年に惜しまれつつ生産が終了した。販売が終了してから15年が経過したいまでも、バスの世界では王者に君臨するエアロキングはファンも多く、ごくわずかながら運行されているを求めるユーザーもいる。

 貸切仕様のオノエン観光バスや、はとバスのオープントップバスなど、まだ乗車が可能な企業もあるので、ぜひ1度、その堂々たるたたずまいと絶景の眺望を楽しんでみてはいかがだろう。


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