ホンダ・フリードの日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞で振り返り! 過去の受賞車を見るとホンダのクルマ作りの変化が手に取るようにわかる (2/2ページ)

ホンダのクルマ作りの姿勢が環境性能重視に変化した

 フィットについては、初代が画期的だった。燃料タンクを前席の下に搭載するプラットフォームを初めて採用して、全高を立体駐車場が使える高さに抑えながら、広い室内と多彩なシートアレンジを備えていた。

 エンジンも個性的で、2本のスパークプラグを使って点火時期の制御を行う燃焼効率の優れたi-DSI方式だ。実用回転域の駆動力を高めて燃料消費量は抑えた。

 初代フィットの受賞は理解できるが、2代目はインパクトが弱かった。受賞時点ではハイブリッドも追加されていない。1.3リッターのi-VTECエンジンなどが搭載されたが、外観は初代の大幅マイナーチェンジ版のようにも見えた。

 7代目アコードも市場に与えるインパクトは小さかったが、このときからホンダの走行安定性に対する考え方が大きく変わった。それまでのホンダ車は、背の高いミニバンやSUVも含めて、ステアリング操作に対する反応が機敏だった。車両の進行方向を変えやすい半面、下り坂のカーブを曲がったり危険を避ける操作をすると、後輪の接地性が下がりやすかった。この走行安定性の不満を解消したのが7代目アコードで、これ以降は、いまのホンダ車と同じく後輪の接地性を重視する一般的なセッティングに変わっている。

 7代目アコードの方向性を進化させたのが4代目レジェンドだ。SH-AWDと呼ばれる後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させる機能が備わり、Lサイズセダンながら、スポーティなミドルサイズセダンを思わせる軽快で安心感の高い走りを楽しめた。

 以上のようにホンダの受賞を振り返ると、2000年代前半は走りのよさ、中盤以降は空間効率と環境性能が評価されている。直近のフリードも、この流れに沿った受賞となる。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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