「BMW」「アウディ」「メルセデス・ベンツ」のドイツ御三家はモータースポーツで激熱バトル! 市販されたホモロゲモデルがどいつもこいつも熱い!! (2/2ページ)

BMWとメルセデス・ベンツが鎬を削る

 それではBMWとメルセデス・ベンツはどうか。両ブランドともに、やはりモータースポーツとの関連性は深い。だが、いわゆる市販車との関連性、そしてレースの過激さで考えるのならば、多くのエンスージアストが思い出すのはグループA規定のツーリングカーレースからさらに進化を遂げ、年々その激しさを増していったDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)ではないだろうか。

 そのタイトルを獲得するために特別に開発されたBMWのホモロゲーションモデルが、あのE30型の「M3」である。

 レギュレーションいっぱいの幅をもつタイヤを収めるためのブリスターフェンダーや、Cピラーとリヤウインドウの角度をアジャストし、エアロダイナミクスのさらなる向上を目指したM3は、レースカーとしてはもちろんのこと、オンロードを走るスポーツサルーンとしても非常に高い人気を誇ることになった。

 M3に搭載されたエンジンは、1982年のデビュー時には200馬力の2.3リッター直列4気筒DOHCだったが、1987年には210馬力を発揮する改良型のエンジンや、専用の大型フロントスポイラーやリヤウイング下のリップスポイラーを備えるM3エボリューションに進化。さらに、1988年には220馬力のM3エボリューションIIが誕生し、各々505台、500台が限定生産された。

 そして1989年にDTMのレギュレーションが、搭載エンジンの排気量を2.3リッターから2.5リッターに拡大されたのを受けて誕生したのが、E30型M3の最終進化モデルとなったM3スポーツエボリューションだ。

 1987年のM3エボリューションに続いて、DTMのタイトルを獲得したM3スポーツエボリューションは、現在でももちろんBMWエンスージアストの間では究極のコレクターズアイテムとして扱われている。生産台数は1台のカブリオレを含め、601台とこちらもわずかな数字である。

 このM3に対抗すべく、1986年にメルセデス・ベンツが発表した、ツーリングカーレース用のホモロゲーションモデルが、「190E 2.3-16」だ。搭載されたエンジンは、メルセデス・ベンツ製のM102型をベースに、コスワースが開発を担当した、2.3リッターの直列4気筒DOHC。その最高出力は175馬力とM3のそれよりもプアな設定であったほか、同様の比較で車重が重かったこともあり、1986年から1988年シーズンでは、残念ながらDTMのタイトルを獲得することはできなかった。

 そこでメルセデス・ベンツが、BMWと同様にレギュレーション変更のタイミングで投入したのが、「190E 2.5-16エボリューション」だ。エンジンは231馬力にまで強化されたが、さらに翌年DTMタイトルを奪取するために過激なエアロパーツを装着したエボリューションIIを235馬力の公称出力で発表。そしてこのモデルをもって、メルセデス・ベンツはようやく1992年のDTMタイトルを手中に収めることができたのだ。

 生産台数はエボリューション、エボリューションIIともに500台。こちらもコレクターズアイテムとして人気は絶大だ。

 DTMには最初で触れたアウディも一時エントリーを果たしていた。同社のフラッグシップモデル、A8につながる血統を持つ「V8クワトロ」がそのウェポンで、1990年、1991年の2年連続でタイトルを獲得しているのだ。その走りはかくもダイナミックで、ファンを熱狂させるものだった。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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