この記事をまとめると
■クルマ好きならば一度は大排気量のマルチシリンダー車に乗ってみたい
■予算300万円で狙うことができる12気筒エンジン搭載車をセレクト
■輸入車に混じり国産唯一のV12気筒エンジン搭載車も狙える
300万円あればマルチシリンダーの最高峰12気筒に乗れる
技術の進化というのは素晴らしいもので、ひと昔前であれば大きな排気量をもたなければ実現できなかったような高出力も、ターボやモーターアシストなどによって小排気量であっても難なく実現できるようになっている。排気量が小さくなれば環境負荷も小さくなるし、気筒数が少なくなれば部品点数も減るといいことづくめで、モーターアシストによって燃料消費量も抑えられるというようにメリットも計り知れない。
……と、頭ではわかっていても大排気量のマルチシリンダー車に乗ってみたいと思ってしまうのはクルマ好きの性。そこで今回は予算300万円で狙うことができる12気筒エンジン搭載車をピックアップしてみた(ただし修理代は含まない)。
ジャガー XJS
ジャガーの往年のスポーツモデルであるEタイプの後継車種として、1975年に登場したXJS。登場時はXJ-Sと記載されたこのモデルは、純然たるスポーツモデルであったEタイプに比べるとラグジュアリーで、グランドツーリングカー的な要素を強めたものとなっていた。
ジャガーXJSのフロントスタイリング画像はこちら
そのため全体的なフォルムはより優雅さを感じるものとなっていたが、明らかに長いフロントフ―ドの下には、5.4リッターの排気量を持つV型12気筒エンジンが収められていたのだ(のちにV12は6リッターとなり、直列6気筒モデルも追加)。
そんなジャガーXJSは1975年のデビューから1996年まで販売されていたため比較的個体は多く、クーペモデルであればV12搭載車でも300万円以内で狙うことができるものが存在している。
フォルクスワーゲン・トゥアレグW12
フォルクスワーゲングループが独自に開発したW型12気筒エンジンは、狭角15度のV6エンジンをさらに72度でV型に配置した複雑な機構を持つというユニークなもの。当時のフォルクスワーゲンのフラッグシップモデルであるフェートン(日本未導入)やアウディA8などに搭載されていたが、SUVモデルのトゥアレグにも搭載されていた。
フォルクスワーゲン・トゥアレグW12のフロントスタイリング画像はこちら
このW12型エンジンを搭載するトゥアレグは世界限定500台でリリースされ、日本には100台が正規輸入車として割り当てられていた。スペックは6リッターの排気量から450馬力/600Nmという出力を発生させるというもので、当時の価格は1047.9万円とフォルクスワーゲン車で初めて1000万円を超えたモデルだったのだ。
そんな貴重なトゥアレグW12だけにさぞかしプレミア価格だろうと思いきや、なんと執筆時点で中古車情報サイトに掲載されていた3台すべてが300万円以下で乗り出せるものとなっており、やや過走行気味の車両に至っては150万円を切る乗り出し価格となっている。
トヨタ・センチュリー
現在のところ、国産の乗用車としては唯一V型12気筒を搭載した車両、それが2代目のセンチュリーとなる。現行型のセンチュリーはV8+モーターのハイブリッド仕様となっているため、今後もV12を搭載する国産乗用車は登場しないのではないかといわれるほどだ。
トヨタ・センチュリーのフロントスタイリング画像はこちら
そんなセンチュリーの心臓部に収まるのは5リッターの排気量を持つ1GZ-FE型であり、直列6気筒エンジンの1JZ型エンジンがベースとなったもの。VIPの車両として使われるため、片方のバンクにトラブルが発生しても、もう一方のバンク側のみで走り続けることができるフェイルセーフ機構も備わっていた。
新車時はほとんど法人オーナーが購入したと思われるセンチュリーも、中古車となってからはそこまで需要が高いワケでもないようで、総額100万円台前半から乗り出せるものも多く、トランスミッションが4速ATから6速ATへと変更された2005年1月以降のものでも300万円以内で狙えるものが多い。