この記事をまとめると
■一部の輸入車に装備される純正パーツは違法にも見えるほど大迫力だ
■大きく見えてもリヤウイングに関する法規を満たしているので合法となる
■爆音の純正マフラーも測定時の数値が基準内に収まるよう作られている
規格外に見えるスーパースポーツのパーツたちはなぜ合法?
輸入車のスポーツモデルなどに取り付けれているウイングは、非常に大きくクルマの幅とほぼ同じ大きさのものもあります。「高性能車やスポーツカーなどに取り付けられている大型のウイングや爆音の純正マフラーは合法なのか?」と、疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、それらが合法なのか解説します。
●輸入車で見かける大型のウイングは合法だった
結論からお伝えすると、輸入車の高性能車やスポーツカーで見かけることがある大型のウイングは合法です。道路運送車両法の保安基準(第100条)には、ウイングに関する要件が明記されています。
要件は、次のような内容となっています。
・車枠(ボディ)の最後端・最外端にはみ出さないこと
・側方への翼状のオーバーハング部を有していないものであること
・溶接やボルト・ナットなどで確実・強固に固定されていること
など……
上記のほかにも細かな基準がありますが、輸入車などで見かける大型のウイングが合法かどうか議論になるポイントは、「側方への翼状のオーバーハング部を有していないものであること」という点ではないでしょうか。
ポルシェ911GT3RSのリヤウイング画像はこちら
道路運送車両法の保安基準をよく見ると、以下のような場合は「側方への翼状のオーバーハング部を有していないものであること」の例外にあたると書かれています。
・ウイング側端の部分と車体のすき間が20mmを超えない等ウイング側端の部分と車体とのすき間が極めて小さい場合
・ウイング側端が最外側から165mm以上内側にある場合
・ウイング側端が最外側から165mm以上内側にないウイングの部分が歩行者等に接触した場合に衝撃を緩衝することができる構造である場合
ただし、上記の場合、ウイング側端付近に車両中心線に平行な後ろ向き方向に245Nm以下の力を加えたとき、当該自動車の最外側から165mm以上内側にないウイングの部分がたわむ、回転するまたは脱落するものは、「ウイング側端が最外側から165mm以上内側にないウィングの部分が歩行者等に接触した場合に衝撃を緩衝することができる構造とする」と定められています。
このような規定があるため、大型のウイングも合法になっています。
また、力技かつ特殊な例ではありますが、一部車種ではもち込みにて登録を行い、車検取得時にウイングをボディの一部として申請するという例もあります。この場合、ウイングが車体の一部という扱いになるので、外したりすると次回の車検をパスできません(車検証に記載されたサイズが変わるため)。
ポルシェ911GT3RS画像はこちら
●始動時の音が大きいクルマも合法
大型のウイングのほかにも、爆音マフラーのクルマも合法になっているのが不思議に思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、エンジン始動時やエンジンを高回転までまわしたときの大きい音は、騒音防止装置の測定基準の範囲外の音となるため、合法となっています。
マクラーレン765LTのマフラー画像はこちら
騒音防止装置の測定は、エンジンの搭載位置(リヤエンジンかリヤエンジン以外か)によって異なり、暖気された状態で測定します。つまり、コールドスタートやレブリミットでの測定でないため、加速時に爆音であっても問題ないのです。
●さまざまな解釈があるが登録されている時点で合法となる
道路運送車両法の保安基準には、ウイングや騒音防止装置など、クルマに関する基準が定められており、さまざまな解釈ができますが、新車として正式に登録された(ナンバープレートが取り付けられた)時点で合法という扱いです(法規から外れたカスタムなどした際は例外ですが)。
そのため、大型のウイングやエンジンをレブリミットまでまわしたときにたとえ大きな音がしても、基準内であれば違法ではないといえます。