見た目もフィーリングもちょうどいい
GR86というとノーマルはちょっとあぶなっかしいところもあるところ、デモカーは安心して攻められて、この先で急に何か起こりそうな気配が感じられない。意のままに走れて、グリップ感も十分に高く、限界がはるか彼方にある感じがする。タイトコーナーもツイスティなS字も高速コーナーも、どこでも走っても気もちいい。
スーパーオートバックスサンシャイン神戸のGR86の走行シーン画像はこちら
前出の小杉氏によると、「そのあたりは積み重ねが効いています。過渡領域が増えて、スパンといくことがないようにしています。でも、単に同じパーツを同じレートで入れてもこうはいきません。いろいろ試してわかったことを反映しています」とのことだった。
スーパーオートバックスサンシャイン神戸の小杉ピットマネージャーと岡本さん画像はこちら
限界は高いが、ちゃんと攻めているという感覚は伝わってくるのも、これまた絶妙な按配だ。小杉氏も「単に固めるのではなく、そのなかでどう動かすかが大事です」と述べていたとおりで、ストロークをつめたなかでも、どれぐらい動いてタイヤがどれだけグリップしているかが手に取るようにわかる。
タイムを狙うクルマというのは、そのあたりのフィーリングがおざなりになっているケースが多いが、デモカーは足が硬くてクルマの姿勢がわからなくなっていることもなく、結果的にそこもよくなっているようだ。
タイムを狙うならさらに太いサイズのタイヤを履くという手もあるだろうが、おそらくそうするとベタッとした動きになってしまいそうな気がする。245サイズにとどめたのも見識だ。また、市街地では多少気になった振動も、ワインディングを走るとほどんと気にならなくなった。
スーパーオートバックスサンシャイン神戸のGR86のフロントエンドのサイドビュー画像はこちら
吸排気の効率を上げてECUをつめてパワーを引き出したエンジンは、たしかに上の抜けがよくなっていて、勇ましくも軽やかなチタンマフラーらしいエキゾーストサウンドも気もちいい。下からついてくる自然吸気らしい素直なトルク特性のおかげ、アクセルワークでハンドリングをコントロールすることもできる。
スーパーオートバックスサンシャイン神戸のGR86のエンジン画像はこちら
それにひと役買っている、ゆるめに組んだという1.5WAYのLSDもちょうどいい。LSDのセッティングにも相当に試行錯誤したそうだが、回頭性を落とすことなく、減速時に不安定になることもなく、コーナーの立ち上がりで踏んで向きを変えたいときはしっかり利いてくれて、じつにいい仕事をしている。それなのに市街地ではバキバキいうこともなく自然に走れたのが不思議に思えた。
「ソリッド感を出すためにいろいろやってきましたが、これだけ固めるとここまでできることがよくわかりました。これは究極的な姿だと思いますが、このクルマを作ってわかったことを、ぜひお客さまにもフィードバックしていきたいですね」と小杉氏は述べていた。
スーパーオートバックスサンシャイン神戸の小杉ピットマネージャーと岡本さん画像はこちら
個人的にもこの見た目もフィーリングも大好物。すっかり楽しませてもらった。このまま乗って帰りたくなってしまった……(笑)。
スーパーオートバックスサンシャイン神戸のGR86のスペック画像はこちら