この記事をまとめると
■人手不足対策として2024年に自動車運送業が特定技能制度に追加された
■トラック・バス・タクシー運転に必要な試験・免許取得が必須条件となる
■制度導入で改善となるかは未知数で、今後の実効性に注目が集まっている
特定技能制度に自動車運送業が追加された
少子高齢化や運送業の労働時間上限など、トラック・バス・タクシーといった自動車運送業の人手不足や働き方が問題となっています。「2024年問題」といわれた2024年に、自動車運送業が特定技能制度の対象となったのをご存じでしょうか。今回は、特定技能制度と、2024年に追加された特定技能制度の「自動車運送業」とはなんなのか解説します。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、中規模および小規模事業者をはじめ、深刻化する人手不足に対応するために創設された制度です。生産性向上や国内の人材確保のための取り組みを行っても人材を確保するのが難しい産業上の分野において、一定の専門性や技能をもつ即戦力となる外国人材に、就労を目的とした在留資格が与えられる制度となっています。
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自動車業界では、自動車整備分野と自動車運送業が「特定技能1号」の受け入れ分野となっています。「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
じつは2024年に追加された「自動車運送業」
先ほど自動車業界では、自動車整備分野と自動車運送業が特定技能制度の受け入れ対象分野とお伝えしましたが、このうち「自動車運送業」は2024年に新たに追加された分野です。
2024年、自動車運送業では「2024年問題」ともいわれた労働時間の上限などが話題となりました。この労働時間上限の問題と同年に追加されたのが、特定技能制度の自動車運送業です。
特定技能制度の自動車運送業では、外国人労働者がトラック運転者・バス運転者・タクシー運転者の業務に従事することが可能となっています。つまり、これから外国人労働者のドライバーがより増えるということです。
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ただし、自動車運送業(トラック運転者・バス運転者・タクシー運転者)として特定技能1号の在留資格を得るためには、日本語能力を証明する試験の合格、自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック、バスまたはタクシー)の合格、日本の自動車運転免許(トラックドライバーは第一種運転免許、バス・タクシードライバーは第二種運転免許)の取得、バス・タクシードライバーは新任運転者研修の修了が必要となります。
特定技能制度で自動車運送業が改善するかは不明
特定技能制度によって、外国人労働者が日本の産業を手助けしてくれるのはありがたいことかもしれません。しかし、それで本当にすべてが解決するといえるのでしょうか。
特定技能制度の自動車運送業においては、資格取得や試験などのハードルが設けられているため、外国人労働者でも一定レベルのサービスを提供することが可能となるでしょう。
いっぽう、海外から見た日本のサービスはレベルが高いといわれています。海外から高く評価されているサービスレベルに到達するのは、日本人でも時間がかかります。外国人労働者が日本人と同等レベルのサービスを提供できるようになるまでには、言葉の壁も乗り越えなくてはなりません。そのため、日本人と同等レベルのサービスを提供できるようになるまでには相当な時間がかかるでしょう。
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自動車運送業は特定技能1号の在留資格です。特定技能1号は、在留期間が1年を超えない範囲と定められています。また、通算で上限が5年の在留資格です。この限られた期間のなかで、自動車運送業が改善するのかは現時点ではわかりません。今後の動向に注目して続報等を待つしかないのが実情といえるでしょう。