レースは最後まで何があるかわからない
富士の長い長いストレートは、かつてのBRZでは苦手なコースと言わざるを得なかった。しかし、年々高出力が期待できるエンジンにアップデートされ、もともと持っていたコーナリングスピードの速さも活かしたBRZ GT300にとって、いまでは富士も得意コースだ。
今回も練習走行からトップタイムを叩き出し好調な様子を見せた。予選はBRZ GT300が出走するGT300クラスは台数が多いことから、Q1 A組B組に分けて行わる。
BRZ GT300はQ1 A組で出走し、ドライバーの井口卓人選手は1分36秒063のトップタイムを叩き出した。
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続いてQ2では山内英輝選手がアタックを行い、1分34秒882というコースレコードに近いタイムを叩き出す。これによりポールポジションが確定したかと思いきや、ライバルが0秒062前に出たことで予選2位となった。惜しい結果となったが、BRZ GT300の速さを存分に発揮した予選となった。
決勝レースは3時間レース。ピット回数が2回義務付けられており、給油も行うことになっている。タイヤ交換は任意のため、タイヤ無交換作戦を行うチームいた。
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予選2番手からトップを狙うBRZは、山内選手がスタート直後からライバルを追いかけた。とはいえ、コーナーではBRZが速くても直線ではライバルの方が速く、横に並ぶまではいくが追い抜くまではいかないもどかしい展開を続ける。
1回目のピットでタイヤ4本交換と給油を行いコースに戻ると11番手になっていた。まだピットインを行っていないマシンもいたため、暫定的に順位を落とすが、このタイミングでは実質的に5位でのレース再開となった。その後ライバルを追い抜き、55周目ついにトップに立った。
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その後はトップをキープしたまま2回目のピットインを行い、井口選手にバトンタッチしコースに復帰。このままいけばトップチェッカーを受けられるはずだった。
しかし、レースは最後の最後、チェッカーを受けるまで何が起こるのか本当にわからない。
スーパーGTでは、GT500クラスのトップ車両がチェッカーを受けることでレースがフィニッシュする。なのでこのとき、GT500のトップ車両が3時間まであと10秒というタイミングでコントロールラインを通過したことで、ファイナルラップが3時間よりもほんの少しだけはみ出すことになった。
その少し後ろを走っていたBRZはファイナルラップに入り、優勝は確実!……という快走を続けるなか、コース後半に入るところで突然マシンから煙が発生し、ドライバーはコースサイドにマシンを止めてしまう。
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前戦岡山ではファイナルラップで他車に当てられてスピンしたことで上位入賞を逃し悔しい思いをしたが、今回はマシントラブルにより最終周にレースを終えることになった。
まさかの2戦連続でのファイナルラップにおけるトラブルに、関係者はもちろんファンも呆然としたのは言うまでもない。
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小澤総監督によれば「レースが終わったタイミングでマシンが戻ってきていないのでなんとも言えないけれど、エンジン系かもしれない。ほぼ完璧に自分たちがやりたいレースを展開してきたなかでのこのトラブルはショックが大きいです」と落胆の声を漏らす。
これもレース……と言えばその通りだが、3年ぶりの優勝がほぼ手中にあっただけに、悔しさは並大抵のものではない。
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あとで聞くと、じつはレース途中からマシンの不調が見え初めていたため、ペースをコントロールしながらマシンを労って走っていたそうだ。あと1/3周走れば優勝できていただけに、このトラブルの原因究明と対策を早急に施さなくてはならないだろう。
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次戦は久しぶりの海外レースとなるマレーシアのセパンサーキットで開催される。そして、その次は8月に、今回悔しい思いをした富士スピードウェイに戻ってくる。夏の2戦をしっかり戦い、上位を走るBRZ GT300の姿に期待したい。