中国で人気を博するBYDのPHEVモデル
BYDの中国国内におけるPHEV販売は急速に伸びており、2021年に前年比5.7倍の27万2935台を記録し、2022年には同3.5倍の94万6239台と急成長を遂げている。そうしたBYDの中国市場におけるPHEVラインアップのなかで、とくに注目すべきモデルをいくつか紹介しよう。
まず「秦PLUS DM-i」は、2021年1月に初めてDM-i技術を搭載したモデルとして登場し、2023年2月に発売された「秦PLUS DM-i 冠軍版」は発売後わずか5日間で2万5363台の受注を獲得した。この車種は9万9800元(約199万6000円)から14万5800元という価格帯で提供されており、コストパフォーマンスの高さも人気の理由である。
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また、最新モデルとしては、2024年に発表された第5世代のDMテクノロジーを活用した「秦 L DM-i」と「シール 06 DM-i」がある。これらは最新技術の恩恵を受け、従来の自動車と比較して燃料消費量が3分の1、航続距離が3倍という革新的な性能を実現している。また、PHEVながら燃料タンク容量が65リットルもあり、理論航続距離が2100km超という。その他、新型セダン「漢 L」と、SUV「唐 L」など高級フラッグシップモデルも発表された。
日本導入が期待されるBYDのPHEVモデル
BYDは日本においては2025年内にPHEVを導入すると発表しており、中期的にはEVとPHEVを合わせて7〜8モデルを展開する予定だ。では、具体的にどのモデルが日本に導入されるのだろうか。その可能性を探ってみる。
私が考える最有力候補は「宋PLUS DM-i」だ。このモデルは4月に発売された新型EV「シーライオン7」に比べ、小型版SUVとなっており、中国国内ではEVとPHEVが発売されている。PHEV版は実用性と燃費性能の両立を追求したモデルで、1.5リッターエンジンと電動モーターの組み合わせで、EVモードでの航続距離はNEDC基準で110km(※実際の走行条件では異なる可能性あり)。SUVとしての実用性に加え、PHEVならではの経済性が魅力だ。中国国外では「シーライオン6」として販売されていることから、日本国内でも馴染み深い名称で販売される可能性が高い。
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次に可能性が高いモデルが「シール 06 DM-i」だろう。このセダンタイプのモデルは、すでに中国市場で高い人気を誇っている。また、上記「シーライオン」と同様に、すでに日本で展開している「シール」シリーズの一環として認知されやすい。両車ともに、日本では戦略的で手頃な価格帯(300万円を切る価格が期待できる)で展開できる可能性がある。
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BYDは、まず手頃な価格帯で購入できるPHEVを日本に導入し、日本の自動車市場に新たな選択肢をもたらそうとしている。これはBYDがEV導入を進める上での重要なステップとなるのではなかろうか。日本でのPHEV人気を追い風に、その姿を早く目にしたいものである。