答えがわかるのは当分先! トランプ関税が日本の自動車メーカーに及ぼす影響とは

この記事をまとめると

■アメリカの自動車に関連したトランプ関税の実態を理解するのはけっこう大変だ

■トランプ関税は海外からの新車輸入と自動車部品輸入を減らしてアメリカ国内製造産業の活性化が目的

■自動車産業全体の組織再編や雇用問題にも発展する可能性も否定できない

関税を増やしたり実施を延期したりやりたい放題

 いわゆるトランプ関税が、日本の自動車メーカーに大きな影響を与えている。アメリカに輸入する自動車に対して、25%の追加関税をかけた。一方で、自動車部品については一部関税の緩和措置を発表している。何に、どのような条件だと、どの法律が該当して、どれだけの関税がかかるのか?

 日本貿易振興機構(ジェトロ)からの情報を見ても、アメリカの自動車に関連した関税の実態を理解するのはけっこう大変だ。

 基本的には、アメリカで販売する自動車生産において、海外からの新車輸入と自動車部品輸入を減らしてアメリカ国内製造産業を活性化するとの方向性に変わりはない。そして、日本の自動車メーカーや自動車部品の経営に大きな影響を及ぼすことは間違いない。

 その影響について、自動車メーカー各社は具体的な数字を提示している。5月の大型連休明けから、自動車メーカー各社が通期決算報告を行っており、そのなかで出た数字だ。

 たとえばトヨタの場合、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の連結販売台数見通しは対前期104.7%の980万台。トヨタ・レクサスの販売台数は前期比101.2%の1040台。これに伴い、営業収益は4633億円増の48兆5000億円と、日本企業の過去最高額。一方で、儲けを示す営業利益は9955億円減って3兆8000億円とした。

 営業利益のマイナス要因としては、為替変動の影響が7450億円ともっとも大きいと予想する。また、資材価格の高騰で3500億円、関税影響は1800億円と見積もる。

 ただし、この1800億円という数字は4月と5月の2カ月分のみを盛り込んだもの。そのため、さらに関税の影響が大きくなる可能性もある。会見で、佐藤恒治社長は「日米政府間の通商交渉が続いている状況で、今後の動きを見守る」というしかない状況だ。

 トランプ関税の影響は、単純に日本からアメリカへの輸出だけではなく、アメリカの隣国であるカナダとメキシコからアメリカへの自動車部品や新車の輸出分にも当然営業が及ぶ。さらに、中国、欧州、東南アジアなど、アメリカとの経済関係が深い国や地域でも、トランプ関税の影響で経済が冷え込めば、トヨタ車の売上にも悪影響が及ぶ。

 そして日本では、自動車産業全体でのコスト抑制や組織再編が行われたり、また雇用問題にも発展する可能性も否定できないだろう。

 トランプ関税は自動車のみならず、日本に多様な影響を及ぼすことは間違いない。


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桃田健史 MOMOTA KENJI

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