いまのクルマが安全なのはディアマンテ・シーマ・インスパイアのおかげ! 現在のADASに繋がる世界初の装備を採用した偉大な日本車3台 (2/2ページ)

シーマやインスパイアなど上級セダンから搭載

 つづいて、実用化されたのはLKASだった。2001年1月にフルモデルチェンジした日産シーマ(4代目)に世界初の「レーンキープサポートシステム」が搭載されたのだ。現在のLKASと同様、カメラにより車線を検出、車線に沿って走るようステアリング操作を支援するという機能だった。

 当時は横風などの外乱によるドライバーの疲労を軽減するものとして開発されていたため、同システムが機能するのは基本的に直進時で、カーブに入ると徐々にステアリングのアシスト力を減らして、最終的にはドライバーに委ねるようになっていたが、基本的にはLKASのルーツといって差し支えないだろう。

 最後に紹介するのはAEBSのルーツ。それが2003年6月に発売されたホンダ・インスパイア(4代目)に世界で初めて備わった「CMS」である。なお、CMSというアルファベットは「コリジョンミティゲーションブレーキシステム」の略称であり、現在では「CMBS」と表記されるようになっている。

 ミリ波レーダーで前方車両を監視、衝突(追突)の可能性を検出すると、ブザーやディスプレイ表示で警報を行い、それでもドライバーが反応しない場合は軽いブレーキングと「E-プリテンショナー(シートベルトの引き込み)」によって危険を知らせる。それでも回避が困難とシステムが判断した際には、車両側でブレーキをかけ衝突被害を軽減するというシステムであり、まさに現在のAEBSと同等の機能を実現していた。

 ただし、現在では歩行者を検知する能力はAEBSにおいて必須であり、そのためにセンサーとしてはカメラを使うことが主流となっている点で、当時の違いを感じるが……。

 こうやって振り返ると、自動運転レベル2につながる技術の誕生と普及までには十年単位の時間が必要だったこともわかる。冒頭で無人運転の実験が進んでいることに触れたが、ドライバー不要の乗用車が普及するにも、それなりの時間がかかることになるのだろうか。


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