HKSが長年培ってきたチューニング技術があればハイエースだってエコカーになる! 内燃機関を捨てない次世代モビリティへの取り組みにクルマ好きなら敬礼 (2/2ページ)

内燃機関への知見を活かした取り組みに注目

 そのBi-Fuel技術を活かした、いま注目の1台が「HKS e-HIACE MULTI ENERGY CONCEPT」だ。

 このクルマのパワートレインは、大別すればシリーズハイブリッドシステムにあたる。つまり、エンジンは発電専用となって黒子に徹するわけだが、このエンジンが只者ではない。

 このe-HIACEでは、バイオエタノール、NH₃混合、そして開発中のカーボンニュートラル燃料である「HKS CN Fuel」を液体燃料として用いる。さらに、グリーン水素、CNメタン、RNG(再生可能天然ガス)、CN-LPGといった気体燃料も使用可能で、これらの液体燃料と気体燃料は切り替えが可能となっているのだ。しかも、その改造は純正エンジンベースにすべて自社で設計・開発しているのだから驚きだ。

 そんな夢のような話が簡単に実現できるかといえば、やはりそうは問屋が下ろさなかったようで、2024年の東京オートサロンにてこのe-HIACEが展示された際は、じつはまだ動かない状態だったという。

 そこからの開発の苦労は並みならぬものだったとのことだが、今回の人とくるまのテクノロジー展の時点までにはなんとか実動にこぎつけ、これから本格的な走行試験が始まるという。残念ながら今回のブースにその実車は展示されてはいなかったが、実際にe-HIACEが走行する動画や、使用されたパーツの一部を見ることができた。

 このような内燃機関に関するHKSの優れた技術は、既存のガソリンエンジンの効率化という取り組みにも現れている。

 こちらは、「旧世代エンジンの高効率化による持続可能な社会への新アプローチ」として、主に1990年台に製造されたエンジンを対象とした、高圧縮化、カーボンニュートラル燃料対応などといった次世代技術の開発。既存のクルマを有効活用することで、資源消費を抑えながらCO2排出量を減らすという取り組みである。

 第2世代スカイラインGT-Rに搭載されるRB26エンジンを例にとると、ノーマルエンジンの熱効率25.5%に対して、HKSの高効率仕様は40.6%を達成。数値だけではイマイチわかりにくいが、現代の市販車エンジンでも40%を超えれば「熱効率が高い」とされるといえば、そのスゴさが伝わるだろうか。

 このような「内燃機関を捨てない」サスティナビリティへの取り組みは、クルマ好きならば期待が高まるばかりだろう。チューニングメーカーの枠を飛び越えたHKSの挑戦から、今後も目が離せない。


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