たった60万円差なら「タイプRしか買わん!」ってならない? それでもバカ売れするシビックRSの価値とは (2/2ページ)

ありそうでなかった絶妙な立ち位置

 ただ、「価格的にはもう少し安くないと、若い世代の方はなかなか買えないんじゃないですか?」と聞いたところ、本当はもう少し低価格で出せたらよかったのですが……と残念そうなところも。とはいえ、新車は買える人に買ってもらって、中古市場に出まわってから若い世代の人たちの手にわたるのでもいいのかもしれません。

 なんとかしなければ、このままでは日本のMT車が滅びてしまうという危機感も、エンジニアたちとの話で伝わってきました。

 そして、今は低価格で買える4ドアのスポーツカーがほとんどないに等しい状態なので、いきなりタイプRにいくのはちょっと……というハードルが生まれてしまっているのも事実です。その手前のエントリーとしてシビックRSでMT車に慣れてもらい、楽しさにどっぷりハマってもらって、それからタイプRにステップアップしてくれたら理想的だと、本格MTスポーツカーへの登竜門的な立ち位置でもあるようです。

 こうしたところから考察すると、シビックRSを買うべきなのは、まず「納期が長いクルマは待てない、すぐにMT車に乗りたい!」という人。「ご近所などの目があるため派手なMT車には乗れないけど、どうしてもMTに乗りたい人」、「日常の道でも気もちよく走れるMT車を求めている人」、「いきなりタイプRにいくのはちょっと気が引ける人」……ということになると思います。

 高性能タイヤの恩恵も最新の制御の恩恵も受けずに、路面からの入力をある程度はしっかりとドライバーに伝えながら、追従性と接地感を自分でコントロールする余白が残されている、シビックRSのこの楽しさ。日常のちょうどいいMT車として、貴重な存在です。


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まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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