まだまだ進化の余地あり
新たなトルクスプリッターの導入は、たしかに技術的チャレンジであり、次の世代のゴルフRが真のリアルスポーツとして、より完成形に近づくための布石であると見る。実際、ダイナミックエリアでの直線加速は、0-100km/hの加速タイムが4.6秒であることや、ローンチコントロールの導入など、高度な機能を搭載している。
パフォーマンスの数値だけを見れば333馬力にパワーアップされたこと、420Nmを誇る2リッターターボユニットと7速DSGの組み合わせは、独・ニュルブルクリンク北オールドコースでのラップタイムを従来モデルより12秒短縮したというし、最高速も270km/hに達するという。
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この性能は過不足ないどころか、日常からサーキットまでを高次元でカバーでき、スーパーカーにも匹敵するほど強力だ。エンジン自体のチューニングも進み、アンチラグシステムを採用してターボの過給レスポンスを向上させ、スムースで扱いやすくもなっている。
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インテリアはR専用装備でまとめられ、スポーツ性と快適性のバランスは優秀だ。日常の足として乗っても満足度の高い実用性は相変わらずで、スポーツカーをもちたいが1台で済ませたい人はもちろん、雪道を含め全天候型のハイパフォーマンスとユーティリティを含めた実用性を求める人にはうってつけの選択肢となるだろう。
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比較対象としてFF駆動の雄、GTIにも試乗したが、Rと比較して約80kgの重量差があるので、軽快さとアジリティの高さを示し、それはそれで強力なホットハッチであることを改めて認識させてくれる。だが、サーキットでラップタイムを測れば、おそらくRが圧勝するだろう。前述のとおり、全天候性の高さもRの魅力だ。
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駆動力制御によるヨーコントロールという領域に踏み込んだゴルフR。クラッチ制御で内輪の締結力を弱めるのは結果として後輪2輪の駆動力を低下させるケースもある。また前輪のオープンデフは旋回加速時にフロントトラクション強制力が足りない。これらを完全に制御し、耐久性を確保しながら意のままに操れる走りに仕上げるには、まだ少し時間がかかるだろう。
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ランエボが歩んできたように、スーパー耐久の2クラスで速さと耐久性を高めるような取り組みをしてくれたら、加速度的に完成度は高まるはずだ。VW社がそれくらいのアプローチを示してくれるなら、国内マーケットへの訴求力も相当に高まると思うのだが。
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