この記事をまとめると
■全日本ダートトライアル選手権第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」が開催された
■改造範囲が広く純レーシングカーの参戦も可能なD2クラスに注目
■D2クラスの最高峰モデルのスペックはどのようなものかを聞いた
D2クラスの四強たちの魔改造モデルがすごかった
全日本ダートトライアル選手権・第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」が5月24〜25日、北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワで開催。24日の公開練習は晴れ/ドライ、25日の競技本番は雨/ウエットで開催されるなか、各クラスで激しいタイム争いが展開された。
炭山裕矢選手の3号車「ZEAL by TSDLミラージュ」画像はこちら
なかでも注目を集めていたのが、4輪駆動の改造車を対象にしたD2クラスだといえるだろう。D2クラスは改造範囲が広く、市販車はもちろんのこと、パイプフレームを使用した純レーシングカーも参戦可能。エンジンの載せ替えや排気量、さらに足まわりの形式や駆動方式、車両重量も自由に変更可能だ。
改造範囲が無制限で、以前からDクラスに参戦する4WDモデルはアンリミテッドのモンスターマシン、あるいは魔改造モデルなどと呼ばれてきたが、果たしてD2クラスの最高峰モデルのスペックはどのようなものなのだろうか?
そこで、ここではD2クラスの“四強”たちのマシンをクローズアップ。現在の最高出力と最低重量、そして、もっともストレートの長いスナガワでの最高速度を聞いてみたところ、いずれも推定の数値ながら、WRCの最高峰モデルであるラリー1車両に匹敵する実力となっていた。
全日本ダートトライアル選手権・第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」のD2クラスの表彰式画像はこちら
まず、注目すべきマシンがDクラスの大ベテラン、谷田川敏幸選手の4号車「トラストADVANクスコBRZ」だと言えるだろう。同マシンは初代BRZにWRXのパワートレインをインストールしたマシンで、最大出力は480馬力を発揮。車両重量は1080kgで、スナガワ最高速度は180km/hをマークするという。
谷田川敏幸選手の4号車「トラストADVANクスコBRZ」画像はこちら
「エンジンの最高出力は当初、450馬力だったんですけど、チューニングを煮詰めることで480馬力まで上げることができました。トルクも60kg-mぐらいだと思いますが、逆に車両重量はカナードなど空力パーツをつけていくに従って、当初より15kgほど重くなりました。それでも、Dクラスとしては車両重量が軽いほうなので、トラクション性能を高めるために足まわりのセッティングに苦労しました」と谷田川選手。
4号車「トラストADVANクスコBRZ」のドライバーである谷田川敏幸選手画像はこちら
さらに「最高速度は180km/hぐらいですけれど、Dクラスでは4速・5速での出力もないと上位を争えませんからね。いまの仕様はスペック的にバランスとしては悪くないけど、もう少し煮詰めたいですね」とのことである。
同じくBRZにWRXのパワートレインを搭載した鎌田卓麻選手の2号車「Castrol TEIN BRZ」も車両重量の軽いマシンで、最大出力は475馬力ながら車両重量は1080kgと谷田川選手とほぼ同じスペック。
鎌田卓麻選手の2号車「Castrol TEIN BRZ」画像はこちら
とはいえ、最高速度は170km/hと谷田川選手のBRZに対してストレートでの伸びに欠けるが、その違いはコンセプトにあるようで、「エンジンはEJ25なんですけど、もともと高回転が得意なエンジンではないので、低回転でのトルクを意識しています。今年は2500ccから2600ccに排気量をアップしたんですけど、それもトルクを増やしたいから。最高出力としては15馬力ぐらいしかアップしていませんが、トルクが90kg-mぐらいあるので、ドライビングもトルクを活かすべく、早めにシフトアップしています」と解説する。
さらに、鎌田選手によれば「パワーでいったらランサー系のほうがありますし、直線のスピードも速いんですけど、BRZは軽さが武器なので、WRCのように動かせるクルマを目指して開発しています」とのことで、やはり、BRZはD車両においても、コーナリングマシンに仕上がっている。
2号車「Castrol TEIN BRZ」のドライバーの鎌田卓麻選手画像はこちら