この記事をまとめると
■学生ジムカーナの頂点を決めるFormula Gymkhana(フォーミュラジムカーナ)
■競技車両のGR86やタイヤなどの自動車メーカーの協賛で成り立っている
■学生と自動車関連企業の貴重なマッチングの場にもなっている
Formula Gymkhanaとは?
ついに今年も始まったFormula Gymkhana(フォーミュラジムカーナ)2025年シーズン。5月に開催されたRd.1の鈴鹿ツインサーキットには、全国から集結した学生たちの情熱と、それを温かく見守るメーカー各社のまなざしが交錯していた。
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WEB CARトップではこれまでもこのイベントを取り上げてきたが、今回は「そもそもFormula Gymkhanaとは何なのか?」という疑問に答える形で魅力と特徴をわかりやすく解説していく。
“徹底したイコールコンディション”による学生限定のジムカーナ
Formula Gymkhanaは、その名のとおりジムカーナ競技だが、最大の特徴は“参加できるのが学生だけ”という点にある。これまでは4年制大学の自動車部だけが対象だったが、2025年からは短大、専修学校、専門学校など、文部科学省認定の学校に所属する自動車部や同好会まで参加枠が広がった。
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ここで問題となるのが、多くのモータースポーツで悩みの種となる「お金の問題」。しかし、Formula Gymkhanaの場合は車両やタイヤといった競技に必要なものはすべて協賛メーカーから提供されるため、学生はほぼ自己負担ゼロで挑むことができる。また、全員が同じマシンとパーツを使うワンメイク方式のため、勝負の行方を決めるのは“ドライバーの腕”。車両の戦闘力に左右されず、イコールコンディションで熱いバトルが繰り広げられるのが最大の魅力だ。
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2025年シーズンの競技車両はTOYOTA Gazoo RacingのGR86。これにBRIDEのバケットシート、RS★Rのサスペンション、Wedsのホイールが装着される。タイヤメーカーはラウンドごとに異なり、5月に鈴鹿ツインサーキットで行われたRd.1ではダンロップがサポート。ヘルメットも希望者には貸与される。まさにメーカーのバックアップをフル活用したイベントだ。
競技車両も裾野拡大の一翼を担う。今回からAT(オートマチック)のGR86を導入し、「自動車部=MTが当たり前」という先入観を撤廃。ATのためハンドルさばきに集中して走れるようになったが、パドルシフトの使用やVSC(横滑り防止装置)のON/OFFはドライバーに委ねられている。なお、サイドブレーキの使用はレギュレーションで禁止されている。
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また、女子クラスも設定されており、こちらは日産オーラNISMOが公式車両。男女問わず、幅広い学生が参加しやすい仕組みになっている。
ただし、誰でもすぐに参加できるわけではない。予選ラウンドへのエントリーには事前選考が必要となるが、その内容もいたってシンプル。自分たちの団体(自動車部など)の活動リポートの提出と、シミュレーターでのタイムアタックというふたつだけ。競技経験はゼロでも、このふたつをクリアすれば予選ラウンドにエントリーすることができるのだ。
ここでひとつ注意を。1次選考となる書類審査の段階でエントリーフィーとして8000円が必要となる。これはあえて費用を設定することで、学生たちに「責任感」をもってもらいたいという狙いがあるからだ。自分でお金を払うことで、書類選考に記入する文章やリポートにもしっかり向き合うようになり、「とりあえず応募してみる」ではなく、真剣に競技と向き合ってもらいたい──そんな主催側の思いが込められているのだ。