この記事をまとめると
■東京湾アクアラインではETCの活用による通行料金の変動が実施されている
■値上げの時間帯の通行料金は通常料金800円の2倍で割引時間帯は半額となる
■大都市への人口集中は世界的な傾向であり自動運転化での効果に期待されている
混雑緩和のために料金を混雑時には料金を上乗せ
神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾アクアラインで、ETCの活用による通行料金の変動が実施されている。渋滞解消などを視野に入れたロードプライシングの事例だ。
ことに、土曜~日曜の午後から夕方の時間帯で、千葉から、神奈川や東京方面へ向かう渋滞が悪化している。このため、すでに2年前の2023年から社会実験として時間帯による通行料金の変更を行ってきた。通行量が増える午後1時から午後8時までを通常の800円から1200円へ値上げし、午後8時から深夜0時までは逆に600円へ値下げした。
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結果、通常は17分程度で通過できる区間で約1時間の渋滞が発生していたところ、40分弱へ縮小された。ところが、再び50分ほどへ長引くこととなり、今年から大幅な差額を設けることになった。
今年4月からは、土曜~日曜および祝日の上り車線(神奈川・東京方面)で、午後1時から午後7時までは1600円へ、午後8時から午前0時までと、午前0時から午前4時までは、400円になる。つまり、値上げの時間帯は通常料金800円の2倍、割引時間帯は半額という設定だ。
さらに、今回からは下り車線(千葉方面)においても、午前0時から午前4時までは400円と割引になり、午前5時から午前7時までは1000円に値上げとなる。週末などの下り車線では、近年、朝の渋滞が激しくなっており、東京湾のレインボーブリッジから海ほたるまでの所要時間が60分を超える道路案内が常態化している。その対策といえる。
アクアラインでの渋滞の表示画像はこちら
ことに、下り方面では、かねてより平日でも早朝に渋滞が起こりやすく、首都高速湾岸線からアクアラインへの合流に際し、車線の引き直しが行われた。東京からのクルマはそのままアクアラインの追い越し車線側へ、横浜からのクルマはアクアラインの走行車線側へ合流していく流れに修正されたのだ。しかしその後も、週末の朝には先のような渋滞が起きている。
海ほたるは、レストランや土産物販売などの施設があり、ひとつの観光場所となっていて、トンネル内からそこへ向かうクルマの多さが、もうひとつの渋滞の要因である可能性もある。
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千葉県へ行く魅力のひとつとして、クルマ関係では、木更津市にポルシェのエクスペリエンスセンターが開業している。コーンズも南房総市にドライビングクラブを開業し、そうした千葉県内での行楽の充実も、渋滞に少なからず影響があるかもしれない。
それは、地元千葉県にとってはよい出来事だろう。また、日本でも、欧州並みの超高速運転を体験できる場(コース)があることは、各車の所有者にとってうれしく、誇らしいことであるはずだ。
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東京湾を抱え込むように整備された京葉道路経由で館山自動車道を使い木更津方面へ向かうには走行距離も長くなり、アクアラインの利便性が改めて認識される状況でもある。
大都市への人口集中は、日本はもちろん、世界的な傾向であり、渋滞解消の課題は、アクアラインや日本だけの話ではなくなっている。少しでも改善する一助として、電気自動車(EV)を軸とした自動運転化への効果も期待するところだ。