この記事をまとめると
■FRポルシェはいまでもマスターピースと呼んで差し支えない出来ばえを誇っている
■FRポルシェはル・マンなどのレーシングシーンでも活躍した
■4気筒FRポルシェはいずれのモデルを選んでも満足度は高い
ポルシェが作るとFRだってこうなる!
以前、ポルシェのテストドライバーやレーシングドライバーを務めていたユルゲン・バルト氏にRRパッケージのよさについてインタビューしたところ、FRをかなりこき下ろす返答がありました。とはいえ、筆者も意地悪ですから「だったら、どうしてFR売ってんのさ?」と返すと「ポルシェが作ると速くなるのだ」とのこと。手練れのレーサーに一本取られたわけですが、彼のいうとおりFRポルシェはいまでもマスターピースと呼んで差し支えない出来栄えなのです。
924
そもそも924は914の後継モデルとしてVWと共同開発したポルシェ入門モデル、という触れ込みでした。それゆえVWと共通部品も多く、なんならエンジンだってアウディ100用の4気筒SOHCというそっけないもの。
ポルシェ924のフロントスタイリング画像はこちら
さらに、フロントがマクファーソンストラット、リヤはセミトレーリングアーム+トーションバーと聞けば「それミニバン?」と眉をひそめたくなるようなしょっぱさ(笑)。
ですが、ポルシェに詳しい史家も記しているように、924はそのパッケージングこそがポルシェの哲学を表徴しているのです。つまり、フロントの車軸上にエンジンとクラッチ、後輪車軸の上にミッションとデフを配する(トランスアクスル)ことで前後荷重ほぼ50:50を実現。
ポルシェ924の透過イラスト画像はこちら
さらに、エンジンマウントを極力下げることや、プロペラシャフトからミッションまでをトルクチューブという剛性材でもって連結するなど、当時の他メーカーがとてもじゃないけどやらない設計がなされているのです。
それゆえ、運動性能はピカイチで、クセの強い911に比べて万人から支持を受けることに。高性能版の924ターボはレーシングフィールドでも期待通りの大活躍で、さらにル・マン用の924カレラGTは935の後継モデルといわしめたほど。
ポルシェ924カレラGTのフロントスタイリング画像はこちら
1981年には前述のバルト氏によってクラス優勝まで飾っています。このル・マン仕様はフルカスタムではありますが、基本パッケージは924シリーズと同一というのもポルシェらしいポイント。
そして、924の素性のよさにマツダが着目し、サバンナRX-7(SA22)の仮想ライバルに据えて開発したことも有名なエピソード。世のなか的に924のコピーなどといわれたこともあったようですが、両社ともに互いのクルマのよさを認め合っているとのこと。ここまで聞くと、入門用ポルシェなどとはおいそれと口に出来ませんね。