海外ではRAV4のタクシーも珍しくない
そのようなこともあり、RAV4は2世代前ぐらいからニューヨークのイエローキャブ(タクシー)としても活躍している。かつてはアメリカンフルサイズセダンが当たり前だったイエローキャブだが、2代目プリウスが取って代わるようになった。ある日ジョン・F・ケネディ空港からマンハッタンまで2代目プリウスのイエローキャブに乗る機会があった。ドライバーの運転はアクセルをベタ踏みして加速し、停車するときは急制動という、およそエコドライブとは縁遠いものであったが、話を聞いてみると、以前乗っていたフルサイズセダンに比べるとはるかに燃費がよく、燃料代がセーブできると大いに喜んでいた。
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イエローキャブに使う車両は組合推奨車種があり、そこから選択することになるのだが、いまではその主役は日系も含めたHEV(ハイブリッド車)となっている。トヨタではカムリ・ハイブリッドが目立っていたのだが、フォード・エスケープ(SUV)のイエローキャブが走りだしたころには4代目RAV4のハイブリッドも走り出していた。コロナ禍後は残念ながらまだニューヨークには行っていないが、調べてみると、RAV4のイエローキャブがいまも多く走っていることを確認できた。
RAV4タクシーといえば、台湾の台北市周辺もRAV4タクシーが目立っている。台湾のタクシーといえばかつては、トヨタ・ウィッシュばかりであった。一般乗用車としてもウィッシュは多く走り、「世界一ウィッシュが大好きなところ」と筆者は台湾を見ていた。
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その後台北のタクシーはウィッシュから2代目シエンタへと急速に入れ替えが進んだのだが、スライドドアに利用者が不慣れだったせいもあるのか、あっという間にシエンタタクシーは消えて、いまはRAV4タクシー、カローラ・アルティス(セダン)あたりが目立っているが、トヨタ以外のメーカー車のタクシーも多く、さながら「タクシー戦国時代」のようになっている。
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台北で常宿としているホテルで帰国時に空港までタクシーを頼むと、タクシーではなくリムジンサービスのようなところの車両を手配してくれるのだが、2025年4月に訪れた際の帰国時はRAV4(先代)だった(台湾到着時、空港からホテルへ行くときは下ろしたてのハンマーヘッドフェイスを採用した現行カムリだった)。
ステーションワゴンというものが世界的に希少となるなか、積載性能も高いSUVがステーションワゴンに代わる形でタクシー車両としても注目されているのかもしれない。
RAV4が今回3つの顔を用意した背景には、諸外国でまさにセダン代わりに日常生活の移動手段として使われていることや、タクシーやハイヤーサービスなどでも同クラスSUVが使われることなどもあって、より趣味性の高いふたつの顔を用意したのかもしれない。
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ランドクルーザーなどのフルサイズSUVは、すでに世界の富裕層の間では、それまでの例えばメルセデス・ベンツSクラスのような高級サルーンに変わる車両として使われるようになっている。このようなニーズがRAV4クラスでもいよいよ先鋭化してきているのかとも、新型RAV4を見て感じた。