「挑戦成功」か「やりすぎ」か? ミニ「Sクラス」としても話題沸騰の新型メルセデス・ベンツCLAのデザインをプロが斬る!!

この記事をまとめると

■新型CLAは大型化と優雅なラインで「Sクラス風」と話題になっている

■新デザイン言語による横一文字ライトや有機的造形で新たな表情を獲得

■キャラクターライン復活や独自のリヤデザインでCLAらしさを追求

メルセデス・ベンツのデザインはここから次の領域へ

 3月にローマで公開されたメルセデス・ベンツの新型CLAが「まるでSクラスみたい」と話題です。おそらくはその優雅なボディラインから受ける印象がそう思わせるのでしょうが、では、あくまで新しいCLAとしてのデザインはどうなのか? ここではそのエクステリアに迫ってみたいと思います。

●ステップアップしたデザインフィロソフィ?

 まあ、2023年に発表されたコンセプトモデルがなかなか刺激的だったので、ことデザインに関しては賛否いろいろあるようです。で、この新型をチェックするにあたっては、まず近年のメルセデス・ベンツのデザインを再確認したほうがよさそう。

 メルセデス・ベンツが2008年前後に提示したデザインフィロソフィが、「センシュアル・ピュアリティ」。ラインに頼った従前のモデルを反省し、できるだけ面の美しさで勝負しようとする考えかたです。といっても、実際の商品に大きく反映されるようになったのは、2018年登場の3代目CLSあたりから。

 現在ではSやCなどメインのモデルラインにも展開されるデザインですが、今回のテーマである新型CLAにはその次のステップが感じられるのがキモ。ちなみに、「もはやSクラスみたい」というのは、全長4723mm✕全幅1855mm✕全高1468mmと大型化されたボディと、2790mmの長いホイールベースゆえかと……。

●流行の顔はメルセデス・ベンツに似合うのか?

 さて、部分的にまず目に飛び込んでくるのがフロントの新しい表情で、流行の横一文字タイプのライトを取り入れた顔です。従来はつり目の鋭角なランプが特徴でしたし、またBEVのEQシリーズはグリルと一体型なので、まるでVWゴルフのように独立した一文字表現が新鮮に見えるのです。

 さらに、このライトや大きなグリル、左右のエアインテークまわりがじつに有機的な曲線で構成されているので、なんともいえぬ生物感が漂います。とくに、先代のキリッとした表情に慣れているユーザーには驚きですらあるかもしれません。

 ではサイド面はどうか? もともと低い全高に加え、やはり低めのボディピーク面が4ドアクーペらしい重心の低さを強調しているのは先代と同じ。ただ、前後フェンダー部にキャラクターラインが「復活」しているのが特徴で、これもまたメルセデス・ベンツの新しい傾向です。

 前述のとおり、ほぼラインを廃したボディで展開していた近年ですが、あくまでも上質さを感じさせる範囲内でシャープさと滑らかさの調和を図るのはアリかと。ただし、そのさじ加減は難しく、あまりやりすぎると結局はもとの木阿弥となってしまいますので。

●セダン派生モデルとしてのチャレンジ?

 ではリヤはどうでしょう? やはり基本は張りのあるシンプルな面で構成されていますが、ここもフロント同様、弓なりで有機感満載のテールランプとガーニッシュが特徴。まあ、ウネッとした形状は「やりすぎ?」とも思いますが、ここはCLAという派生車種だということも考えれば、いい意味での個性といえそうです。

 ところで、すでに多くのメディアにおいて、デイタイムランニングライトや、BEV版のグリルに142個も使われたスリーポインテッドスターに話題が集中、賛否も見られます。あまりに使いまわし過ぎじゃないの? という話です。

 ただ、ブランドマークをモノグラム化するのはクルマの世界に限った話ではなく、とりわけ高級ブランドでは定番でもあります。そもそも、そうしたグラフィックなどはあくまで部分的な内容であって、カーデザイン全体としてはあまり固執するような話ではないでしょう。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

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