競争を続けながら20年近くに渡って進化を重ねた
そしてこの4A-Gは、レビン・トレノの進歩とともにアップデートを重ねていく。AE92の後期型でハイオク仕様になり、圧縮比は9.4から10.3。パワーも140馬力(ネット)に向上。5バルブになったAE101(1991年6月)では160馬力となり、1リッター当たり100馬力を達成。1989年に登場したVTEC搭載のライバル、EF9シビックのB16Aエンジンに並ぶ。
4連スロットル化でさらにレスポンスはよくなり、VVT(可変バルタイ)で低中速回転域のトルクも大きくなり、ドライバビリティも改善した。(しかし、シビックは1991年9月にEG型にモデルチェンジ。B16Aは170馬力になり4A-Gを引き離す)。そして1995年、AE111レビン・トレノとともに、4A-Gは165馬力へ(同年デビューのシビックEK4のB16Aは170馬力……)。
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また4A-Gには過給機付きモデルもあり、初代MR2のAW11に用意されたスーパーチャージャー付きの4A-Gは、145馬力。AE92後期は165馬力、AE101前期は170馬力というスペックだった。
モータースポーツでは、主にグループAでシビック勢としのぎを削る。1985年、グループA元年のAE86のレース仕様は149馬力だったが、1990年には200馬力までチューニングが進む。最終年度の1993年には同じNA1.6リッターのまま、227馬力、レブリミットは9500回転になって、セミ耐久レースのグループAで戦えるほど進化した。また2007年まで開催されていたフォーミュラトヨタのエンジンも4A-Gが指定だ。
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チューニング界では、HKSの5A-Gキットでストロークアップした通称「5A-G」や、7A-FEのブロックを流用した「7A-G」(土屋圭市のAE86ストリート号の仕様)など、各種バージョンがあるのも特徴。
4A-Gは2002年7月まで生産されていたが、FR、FF、MRの各スポーツモデルに搭載されて、レースでも実績を残し、19年間もテンロクスポーツを支えてきたのは、なにより素性がよかったから。トヨタが誇る名機といっていいエンジンだろう。