走り屋に愛される伝統の6本スポークはもちやすさを追求した結果! 「サンナナ」でお馴染みのホイールRAYS TE37のトリビア

この記事をまとめると

■日本を代表するホイールブランドであるRAYS

■看板商品は鍛造スポーツホイールの傑作である「TE37」だ

■クルマのパワーアップに合わせて30年の間で進化を重ねている

「TE37」って何がすごい?

 レイズのスポーツホイールのなかで”超”定番モデルであるTE37。サンナナと呼ばれるこのモデルは今でも進化を続けており、どんどん新モデルが登場している。ではなぜ、TE37は支持されるのか。

 TE37の登場は1996年。約30年前である。鍛造製法と鋳造製法の両製法ができる数少ないホイールメーカーであるレイズ。そのスポーツモデルとして軽量高剛性な本格レーシングモデルとして登場したのがTE37だ。
当時15インチの6Jモデルを3.7kgに仕上げるという目標のもとに生まれたモデルで、その重量である3.7kgがそのままネーミングされている。

 特徴としては、軽量に仕上げるためにアルミ材を数千トンでプレスして鍛造することで、素材に強さももたせつつ、そのぶん薄くすることができ、結果として軽量なホイールに仕上げることができる……という点。

 オーソドックスな6本スポークはその剛性バランスや見た目のデザインもあるが、レースでの使用を考えてもちやすいカタチを追求。水平にスポークが来て両手で持ちやすい6本スポークとすることで、素早いタイヤ交換に対応させたのだという。

 そんなTE37にはさまざまな派生モデルが登場し、元のモデルもTE37 SAGAなどに進化している。それはホイールにもクルマと並行して進化が要求されているからである。

 クルマはどんどん高性能化してパワーアップし、車重も重くなっているのは承知のとおり。自主規制280馬力の時代もあったが、今では普通に300馬力や400馬力のクルマも珍しくない。そして車重は、パワーアップやボディの大型化、安全性能の向上などによって増え続けている。

 96年当時は車重が1000kg前半くらいが普通だったが、現在の1000kgは一部のライトウエイト車にすぎない。スポーツカーは最低でも1200~1300kgはあり、ちょっと大きなクルマだと1500kgや1700kgも珍しくない。そうなれば、ホイールに対する負担が増えるのはいうまでもない。

 また、近年のクルマはサスペンションアームが伸びていて、ホイールのインセットは数値が大きい傾向にある。このほうがアライメント変化が少ないのでハンドリングはよくなりやすい。昔はスポーツカーの交換用ホイールといえばインセット0とか15なんてのが定番だったが、近年はスポーツモデルでもインセット30や40が当たり前。

 なので、それだけホイールの断面はコの字型になり、内側のリムがたわみやすくなっている。そこにハイパワー化に加えてウエイトも増えている。また、タイヤのグリップも上がり続けている。ホイールが歪みやすい条件が揃っているのだ。

 そういった背景から、TE37も都度モデルチェンジして、より大きな負荷に耐えられるようにさらに強くなって進化してきている。そのため、近年のクルマには適合するサイズの中古ホイールがあっても、古いものではなく、新しいホイールを組み合わせるのが理想だ。

 TE37も当時物よりも最新のTE37を組み合わせることが、最新のクルマの性能を引き出す方法である。ぜひ、最新のクルマに向けて設計されたTE37を味わってもらいたい。


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加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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