注目はやはりバッテリーの大幅強化
さて、イメージを一新した”ニッサン“の新しいEVには以下のように「リーフ」として初採用された機能や仕様が多数備わっている。
●水冷式の温度調整システムを備えたリチウムイオンバッテリー(52.9kWhと75.1kWh)
●14.3インチ画面のデュアルディスプレイ統合型インターフェイス
●Googleマップを含むGoogleビルトイン機能
●ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Auto
●フラッシュドアハンドル(フロント、日産車として初採用)
●19インチアルミホイール
●64色のアンビエント照明
●インテリジェントアラウンドビューモニター(3Dビュー、インビジブルフードビュー、フロントワイドビュー機能)
●BOSEパーソナルプラス・プレミアムオーディオ
このなかで、EVの進化ポイントとして最注目といえるのはバッテリーの進化だ。初代・2代目のリーフはバッテリーの温度管理がパッシブタイプで、高速域の連続走行や急速充電などによるバッテリーの温度上昇が課題とされていたが、新型では水冷とすることで温度管理の精度が上がったという。
しかも、単純にリチウムイオンバッテリーの理想温度25℃を維持するわけではない。たとえば、目的地が近ければ、バッテリー温度を適温にするために電力消費をするのはもったいない。逆に目的地が遠く、途中で急速充電を利用しながら高速移動が必要な場合は、充電効率を上げるべくバッテリーを冷やしておきたい。
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新型リーフでは、ナビでルート設定しておけば、ルートとバッテリーコンディションなどの情報をトータルに考え、理想的なバッテリー温度管理を行うことができるという。
また、バッテリーやオンボードチャージャーなどの発する熱を室内の暖房に活用するなど、車両全体で徹底した熱マネージメントを行う設計となっている。まさに最新のEVらしいポイントであり、初代・2代目のリーフで指摘されたウィークポイントを克服したといえる。
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結果として、一充電走行距離は75.1kWhのモデルで600kmを超えるという。さらに急速充電性能も向上、150kW級の急速充電器を使えば15分で250km相当の電力を蓄えることが可能となった。満充電で出発して、300kmごとに15分~20分の休憩タイム&急速充電といった運用が可能になるわけだ。これならば、エンジン車感覚でのロングドライブも可能といえそうだ。
航続距離性能の向上はバッテリー総電力量を増やしただけではない。前述した熱マネージメントや、日本仕様でCd値0.26を実現したスーパーエアロボディが効いている。日産初のフラッシュドアハンドルは、優れた空力性能の象徴だ。
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街乗りが多いというユーザーに注目してほしいのは小まわり性能だ。
新型リーフは全幅1810mmとワイドボディとなり、235/45R19という幅広・大径タイヤを履いているが、スペック上の最小回転半径は5.3mと抑えられている(現行・2代目リーフの17インチタイヤ装着車は最小回転半径5.4m)。加えて、前述したように全長が短くなっているのだから市街地でも取りまわしやすそうだ。
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ボディが短くなったからといってキャビンが狭くなったわけではない。アリアと同じCMF-EVプラットフォームを採用したことでエアコンユニットをモータールームに収めることができ、前席の足もとは非常に広くなっている。
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室内では後席やラゲッジにACコンセント(100V)を設定したのもニュースだ。これまでのリーフは床下バッテリーの電力を駆動にしか使えなかったが、家電にも活用できるようになった。レジャーシーンで役立つだけでなく、災害など非常時に心強い機能を有したといえる。さらに普通充電ポートに差し込むことでシステムを起動していない状態でも電力を取り出せるパーツも用意するという。
注目したいのは、新設定される調光パノラミックガラスルーフで、電子的にガラスの透過率を変えることで、物理的なシェードを不要としている。余裕のヘッドクリアランスを確保したガラスルーフなのだ。
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以上、リーフ・オーナーであれば気になるだろう新機能・新装備にフォーカスして紹介してきたが、これ以外にも多くの部分で新型リーフは進化を遂げている。
現時点では価格については未発表だが、モーターやインバーター、変速機をコンパクトにまとめた駆動系がハイブリッド「e-POWER」と共通設計になっているという話を聞けば、リーフという名前にユーザーが想像するであろう「手の届く」価格帯で登場することを期待したい。