なぜ7代目のR31スカイラインは酷評された? 本当に魅力のないクルマだったのか真実を探る (2/2ページ)

歴代で最多のグレード展開を誇る

スカイラインのなかでもっともバリエーションが広い

 多彩なバリエーションもR31型の魅力のひとつ。ボディ形状は4ドアH/T、4ドアセダン、2ドアH/T、そしてワゴンの4タイプ。エンジンに至っては、RB20DET-R、RB20DET、RB20DE、RB20ET、RB20E、CA18S、CA18P、RD28の8種類が存在。さらに、海外仕様としてRB30S、RB30E、CA20S、CA20Eが存在し、特例としてトミーカイラのM30にはRB30(腰下RB30+腰上RB20)、オーテック限定でV6エンジンのVG30DET搭載車も存在する。

 4ドアH/Tと4ドアセダン、ワゴンのみの設定だった発売初期で32グレードもあり、その後、1986年には2ドアH/Tが追加され、さらに限定車、特別仕様車が次々に投入されたことで、最終的には100種類以上のバリエーションが用意された。

 この背景には、ハイソカーの主役であったマークII 3兄弟への対抗措置と、デビュー直後に受けた評価の差を巻き返すべく、開発陣や営業サイドが積極的に手を打ったことが大きい。このバリエーション数は歴代最多であり、王道の限定モデルだけでなく、運次第ではレア車に乗れる可能性という意味でも、コアなファンにとっては魅力的に映るのではないだろうか?

目立つこと間違いなしのレア車も存在

 R31のスペシャルモデルといえば、グループAレースのホモロゲ取得を目的に、1987年2月に800台限定で発売された「GTS-R」と1988年にスカイラインの父である桜井眞一郎氏がオーテックジャパン在籍時に200台限定でリリースした、初のメーカーカスタマイズモデル「オーテックバージョン」が有名だが、それ以外にもR31にはさらにレアなスペシャルモデルが2台ある。

 その1台が、日本のカロッツェリアというべき「トミタ夢工場」が1987年にリリースした「トミーカイラM30」だ。これは日本で初めてチューニング・コンプリートカーとして公認を受けたモデルである。最大の特徴はエンジンで、輸出仕様に存在したRB30のブロックにRB20DEのツインカムヘッドを組み合わせたM30エンジンを搭載。

 出力は240馬力/30.0㎏‐mとGTS-Rの210馬力/25㎏‐mを大幅に上まわっていた。加えて専用のエアロパーツや足まわりを装着してトータルチューンされたこのモデルは、当時としては破格の580万円。GTS-Rやオーテックバージョンよりも高額であったことから、当初予定していた200台の販売数には大きく届かず、30台にとどまった。

 もう1台は1994年に登場した「S&Sドリフトパッケージ」。これはオーテックジャパンにかつて存在したS&S事業部が製作したカスタマイズモデルで、当時社長であった桜井眞一郎氏は、「最後まで作り込むことができなかったR31のひとつの答え」と明言していた。

 ポイントは、R31のボディに31型レパードに搭載されていたVG30DETと4速ATをドッキングさせた点。これにともない、ファイナルギヤも4.1から3.7ハイギヤード化されている。その出力向上に対応すべく、より幅広いタイヤが履けるように前後にオーバーフェンダーを装着し、見た目も控えめながら、さりげなく高性能車であることをアピールした。

 ちなみに、このVG30DETと4速ATという組み合わせは、当初ザガート・ステルビオ、ザガート・ガビアなど、オーテックで製作されたコンプリートカー製作のために用意されたユニットで、販売台数が芳しくなかったことから、R31にも活用され誕生したのがこのパッケージだ。

 価格はコンプリートカーが300万〜350万円、持込車両ベースで改造申請込みで200万円とされ、販売台数は試作車を含めて5台。R31のなかではもっともレア度が高いモデルといえるだろう。


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